災害に備える

伊勢湾台風から63年

63年前の昨日(1969.9.26)、伊勢湾台風が和歌山県潮岬付近に上陸しました。この伊勢湾台風は現時点においても「明治以降の日本における台風の災害史上最悪の惨事」とされます。 このたびの台風14号、15号もちょうどこのシーズンにやってきて、「予想や警報」…

『関東大震災鉄道復旧工事写真帳』

2022年10月14日は、日本最初の鉄道が汐留(新橋)-桜木町間を往復してから150周年ということで、各地で記念行事などが行われています。横浜都市発展記念館で開催されている「横浜鉄道クロニクル 発祥の地の150年」もその1つで、ある「見たいもの」のために500…

首都直下地震等による東京の被害想定(2022.5.25発表)から考える3つのこと

6月23日を発行日とする日経アーキテクチュアp14に、「首都直下地震の被害想定を10年ぶり改定」と題する記事が出ています。およそ1か月前にこの改定報告書が発表されたとき、各メディアが一斉にそれぞれその内容について報じましたが、500頁近くもあるこの報…

「災害レッドゾーンにおける土地利用規制」などを神奈川県に提言

先週4月21日(木曜)に神奈川県HPに「第8回線引き見直しに向けた検討会からの提言(令和4年3月)」がアップされました。 昨今の自然災害リスクの増大や危機意識の高まりを受けて「激甚化・頻発化する災害からいのちと暮らしを守るまちづくり」が最初の章(第1章)…

『気候適応の日本史』

タイトルに惹かれて2022.3.1発行とされるこの本(吉川弘文館歴史文化ライブラリー544、著者は中塚武)を読みました。 「人類は先史時代から極寒の北極圏でも、灼熱の砂漠地帯でも、熱帯雨林でも、絶海の孤島でも、南極大陸をのぞく地球上の陸域のほぼすべてで…

富士山爆発による溶岩流到達可能性マップの改定

本日も研究室からは富士山が美しく見え、ふと、「ここに降った雨や雪解け水はどの海に注ぐのか?」との昨日の問いを思い出したところ、それに続いて、「そういえば昨年、富士山噴火による溶岩流等の流出に関する見直しがあった」ことを思い出しました。まさに…

流域地図と「流域治水」

寒い冬の朝、研究室から雪化粧した南アルプスが見えることに気づいたことをきっかけに「雪山の大景観と地域イメージ」という記事を4年前のこの時期に書きました。昨年夏には、リニア新幹線の工事がストップしていることに関連して「南アルプストンネル」を書…

都市探訪86 愛宕界隈

愛宕界隈・愛宕神社(写真奥の階段登る)は防火の神様 🔖検索 「界隈」

‘アーバン・ベア問題(クマの市街地出没)’と都市計画

いつも楽しみにしている『UP』2022.1号が届いたのでペラペラめくっていると、「となりのヒグマ -アーバン・ベア問題とはなにか」という論説記事が出ていました。アーバン・ベア問題??? 驚いたことに、近年の都市計画の成果によって(他にも要因があると考え…

「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について」(12月21日公表)

12月21日に発表された「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について」(内閣府)ですが、なぜ発表されたのか、どのような意味をもつ発表なのか、どこに注目すればよいのかわからないまま、「死者約20万人も」といった印象だけが記憶に残り、まだ4日し…

社会実験「シブヤホンマチPLACEMAKING」が開催されます(10月21~23日)

「本町地区防災都市づくりグランドデザイン」(2021.3渋谷区)で示された将来像に一歩近づくべく、「シブヤホンマチPLACEMAKING」が開催されます。 これは、このグランドデザイン第6章で位置づけられた「プログラムを実行・継続するため」の取り組みの1つであ…

Right Sizing

9月。100年前の「スペイン風邪」の感染者5億人、死者2000万人(いろいろ説があるが最も多く出ている数)。致死率4%。今回の新型コロナは現在、感染者2億人、死者450万人。致死率2.25%。仮に今、道半ばだとすると(5分の4くらいの地点だと思いたいところですが…

南アルプストンネル

リニア新幹線の「難工事」とされる「南アルプストンネル(25キロメートル)」について、これまでその工事の実際について理解していませんでした。けれどもこのところ、政治的要因なども加わって「難工事」の度合いが増し、さらに最近では地震学者による『リニ…

『災害とたたかう大名たち』

『藩とは何か 「江戸の泰平」はいかに誕生したか』(中公新書2552、2019.7.25刊)の続編ともいうべき、重要な本です。 藤田達生著、角川書店2021.4.23刊。 「「日本の都市が国土レベルの配置とネットワークを伴って誕生した都市イノベーションそのもの」といえ…

東京都防災都市づくり推進計画「整備プログラム」が改訂されました

東京都の防災都市づくりに関する計画は、「基本方針」と、それにもとづく「整備プログラム」から構成されます。一度に改訂できないので、まず「基本方針」がおよそ1年前に改訂され(パブコメ段階での解説はこちら)、それに続いてこの3月末に「整備プログラム…

「本町地区防災都市づくりグランドデザイン」(東京渋谷区)が公表されました

木造密集市街地の改善(問題解決)と地域価値向上を同時にはかる、新しいタイプのまちづくりめざした計画書が公表されました。本編(5.6Mb)と資料編(6.2Mb)で構成されます。(⇒参考資料へ) 新年度(令和3年度)から実施段階に入ります。 ポイントとしては、1)拡幅…

2022年度スタート高校「地理総合(必修)」と都市計画 (その2)

昨日文科省で教科書「検定」が終わり、今朝の各紙は「高校教科書「探求」重視」(朝日新聞)などと、一斉にその内容を紹介しています。都市計画との関係では「公共」のほうも気になるところですが、1つ前の記事のような地域学習とからめて、「地理総合」の教…

『Before/With コロナに生きる社会をみつめる』(3月10日発刊予定)

新型コロナにどう対処するか。 さまざまな角度からそれをとりあげた図書がもうすぐ出ます。 都市計画の立場からも考えておかなければ、、、と私も1編書いています。 新型コロナが今後どうなるかは、今後襲ってくるかもしれないその他の感染症や災害も含めて…

シンポジウム「With/Afterコロナ時代の地域像」が開催されます(2月15日(月)午後) [事後コメント追加(2月15日夜)]

シンポジウム「With/Afterコロナ時代の地域像」の開催が昨日公表されました。 2021年2月15日(月曜)午後です。かなり迫っています。 大学院授業「地域創造論」で取り組んできた地域提案の発表もあり、活発な意見交換ができそうです。詳しくは下記サイトから。…

大災害時にも柔軟に対応できるオンライン効果 (都市は進化する3)

先週2度あった静岡県の都市計画の仕事は両方ともオンライン対応でした。 静岡県は緊急事態宣言からはずれていたのですが、コロナ変異株問題が急浮上して、最終的にはこのことが地元参加者だけが会場に来るとの判断を決定づけたようです。 そのため担当者は急…

都市は進化する1 「渋谷本町防災都市づくりグランドデザイン」のパブコメがスタートしました(1月29日まで)

シリーズ「都市は進化する」をはじめます。 本日、「渋谷本町地区防災都市づくりグランドデザイン(素案)」が公表され、1月15日から1月29日までの2週間の間、意見募集の期間となっています。 木造密集市街地の整備改善を基本テーマとしつつも、地区の魅力を最…

貞観という時代(859-876)と現代

「いつの時代にも災害からの復興は容易ではなかった」が、「どれほどの激甚な災害が起ころうとも、人々は懸命の努力をもって復興を果たしてきた」と、古代から現代に至る日本の災害と復興(⇒『災害復興の日本史』(歴史文化ライブラリー361、2013.2.1刊))を総…

立地適正化計画と減災・防災(2020.7.14)

本日午前の「市街地創造論」で「立地適正化計画と減災・防災」を話しました。 このたびの豪雨に伴う球磨村の被害をイントロにおき、三島市と藤沢市の立地適正化計画を例に、計画によって減災・防災を進めることの可能性を議論しました。 特別に、使用した資…

被災市街地の再生(2020.6.9)

本日午前の「市街地創造論」で「被災市街地の再生」を話しました。 「3.11(東日本大震災)」からの復興の状況を軸にしつつも、今後甚大な被害が予想されている「南海トラフ地震」や、近年ますます大規模な被害も予想される水害なども題材にしながら、長期的な…

ポスト・コロナ社会の新ビジョン【2023.6.7完結】

新型コロナ感染症は、これからの都市を考えるうえで重大な課題を提起するとともに、「ポスト・コロナ社会の新ビジョン」を構想する契機ともなりました。 ポスト・コロナ社会の新ビジョン」を構想するこのページは、2020年3月頃よりおよそ3年間、関連する記事…

『反脆弱性 不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』

4月14日の日経朝刊「Opinion」欄。「技術革新は家でも起きる」との微妙なタイトルとなっているこのコラムの主旨は、最後のパラグラフ「災厄からは巨大産業が生まれることも多い。世界で始まった壮大なテレワーク革命に日本の企業社会も加わり、「家からの技…

「3密」と都市計画

コロナウイルスの蔓延を防止するために「3密」を避けること。これは、都市そのものの特性を(一時的に)否定することでもあります。都市の存在そのものが脅かされている感覚が恐怖感(と同時に悔しさやもどかしさ)を増幅します。 けれども都市に人口が集中し都…

エール:「検証『2050 日本復活』」を2020年に検証する

今週スタートしたNHK朝ドラ「エール」。「あなたの音楽にどれだけ勇気づけられたことか」との長崎の方の言葉に主人公が励まされるシーンに、9月まで続くこのドラマのエッセンスが詰まっていました。(解説:主人公は、1964年オリンピック開会式用に作曲した音…

カオスに立ち向かうために : 『レジリエンス あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』再読

2020年3月31日朝。 やられっぱなしではなく、「撲滅してやる」のような一本調子でもなく、具体的かつ現実的な方法はないだろうか。過去にすがるだけでなく、未来志向で希望のもてる、自分たちの力を最大限活かせるような道筋。 昨日、遠隔ゼミや遠隔授業など…

羽田空港アクセス線と羽田空港第五滑走路

2020年3月31日をもって、京浜急行品川駅下にある「京浜ストア」および「品達(複数のラーメン店等がモールとなっている部分)」が閉店します。「品川フィールド(その3)」で6)番としている「京浜急行連続立体化事業(特に品川駅部分平面化事業)」がスタートする…