都市イノベーション読本2.0

MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

クリス・アンダーソン著(関美和訳)、NHK出版、2012.10.25刊。 「今期の人員削減は1万人規模」(パナソニック)、「城が消える城下町」(従業員2400人のソニー子会社工場が岐阜県美濃加茂市から撤退するなどの現象を伝える日経記事の見出し)、栃木県矢板市でもシ…

日立駅

昨年の今頃、都市計画学会60周年を記念して刊行した『60プロジェクトによむ日本の都市づくり』(⇒第23話)。その成果の1つに、60プロジェクトすべてに「プロジェクトその後」の項目を設け、60名の執筆者の方々に、さまざまな角度から「プロジェクトその後」を…

「街コン」「街バル」

静岡で先月、今日は「静岡おまちバル」があるんだけど、どうですか。と誘われました。「何、それ?????」。 よく聞いてみると、「街バル」というのが大阪を中心に流行っていて、静岡でも既に何度かやっているとのこと。 気になりネットを検索してみると、全国…

SmartCode

都市はコードでつくられているし、日々コードに従って形成され変化している。だとすると、そのコード自体を書き換えれば新たにめざすべき都市の姿がじわじわとできてくるはずである。そのような考えから2003年にアメリカの建築家DPZによって提唱された新しい…

Urban Village  20の実践事例とモデル提案 (2020.6.11更新)

旧Blogから現Blogへの移行の際に、移行できなかったファイルです。 2019年10月にeBookとして復刻しました。 ⇒eBook『Urban Village 20の実践事例とモデル提案』 ※以下、旧記事 [10月2日の『URBAN VILLAGES and the Making of Communities』の巻末に整理され…

アメリカ都市計画の誕生

ジョン A. ピーターソン著(2003)、兼田敏之訳、鹿島出版会2011.12.30刊。 本のタイトルは「The Birth of City Planning in the United States, 1840-1917」ですが、訳者が残念がるようにこの日本語訳は1910年にアメリカ都市計画が「誕生」したところで終って…

都市は人類最高の発明である

エドワード・グレイザー著(山形浩生訳)、NTT出版2012.9.28刊。 1967年生まれ(ということは今年で45歳)の著者によるこの図書の原題は「TRIUMPH of the CITY」となっていて、日本語のタイトルはこれに副題を足し合わせて訳してあります。都市は私たちを「Riche…

URBAN VILLAGES and the Making of Communities

Peter Neal編、Spon Press 2003刊。 1992年頃よりはじまったイギリスにおけるアーバンビレッジ運動の10年間の成果をまとめた好著。ケーススタディーも豊富(第4部に12事例が同じフォーマットで掲載されていて資料集としても使える)で、フルカラー258頁のやや…

ON THE HIGH LINE

第62話。今回は、第26話に次ぐ2度目の写真集です。 Thames & Hudson, 2012刊。副題は「EXPLORING NEW YORK’S MOST ORIGINAL URBAN PARKS」。 ニューヨークの「ハイライン」に関する本が何冊か出ている中で、現時点で最も新しく、主にハイライン利用者用に作…

復興が転機となった横浜の近代建築 〜「防火帯建築の今」

9月8日(土曜)に、標記のセミナーが横浜で開催されました(主催はヨコハマヘリテージ)。「これ」といった図書が出版されたわけではありませんが、関連する活動や研究成果が地元で蓄積されてきていて(例として下記資料1)2))、このセミナーの基調講演(講師は横浜…

MITメディアラボ 魔法のイノベーションパワー

早川書房2012.8.25刊。前所長のフランク・モス著(千葉敏生訳) 『世界を変えるデザイン』(英治出版2009)をこの読本でとりあげようとしていたところ、そのような流れをつくる水源の1つともいうべきMITメディアラボに関する本が出ていることに気づきました。も…

湘南邸園文化際2012

ようやく暑さも途切れた9月2日、鎌倉へ。今回はあの不人気の『平清盛』でいよいよ頼朝に光が当たりだしたのになぜか影響され宝戒寺+頼朝の墓へ(支離滅裂??)。たまたま貼り出されていたチラシに誘われ訪れた「銀の鈴ギャラリー」で、今年も『湘南邸園文化際』…

極北

マーセル・セロー著(村上春樹訳)、中央公論新社、2012.4.10刊。原文は2009年。 働きの良い者は抜擢されて「ゾーン」と呼ばれる場所での仕事が与えられる。その仕事とは、、、 都市イノベーション読本としてはじめて取り上げる「小説」。極北(シベリア)の町や…

Cultural Planning

ロンドンオリンピックもいよいよ大詰め。直訳すると「文化都市計画」となる本書の刊行(Routledge社)は2001年と古く、現代の「CULTURAL PLANNING」について正面から体系的に論じた最初の図書といってよいのではないかと思います。副題に添えられた「an urban …

EVENTS AND URBAN REGENERATION

ANDREW SMITH著、2012年、Routledge刊。副題がTHE STRATEGIC USE OF EVENTS TO REVITALISE CITIESとなっていることからわかるように、本書は、都市再生のためにイベントを戦略的に使うにはどうしたらよいかについて、オリンピックも含めたこれまでのさまざま…

オガール紫波

日経アーキテクチャー(7月10日号)に紹介されたオガール紫波。東日本大震災後の復興のみならず、今後の地方再生の1つの姿をイノベーティブに実践している事例と感じ、さっそく現地へ。 6月20日にオープンした「オガールプラザ」のマルシェは生産者と消費者の…

ウランバートル

縁あって先々週、ウランバートルに行ってきました。標高1300メートルの高原都市。ちょうど7月は最も過ごしやすい季節の1つと思われ、昼間は30度近くまで気温が上がっても夜は15度程度。湿度も低く快適です。 おおざっぱにみるとモンゴルの人口300万人の約半…

商店街はなぜ滅びるのか

新雅史著、光文社新書582、2012.5.20刊。 前回に続いて、たまたま同じ光文社新書です。新氏は1973年生まれ、前回の中川氏は1974年生まれ。ちょうど40歳前の、元気さと論の新鮮さが光る世代です。昭和に言い換えると48年と49年。ちょうど‘第一次オイルショッ…

東京スカイツリー論

中川大地著、光文社新書583、2012.5.20刊。 東京スカイツリーが開業したのとほぼ同時に出版された、都市イノベーションの新次元を考えさせられる1冊です。1〜4章が「インフラ編」「タワー編」「タウン編」「コミュニケーション編」と分けられ、それぞれの視…

焦土からの再生 戦災復興はいかに成し得たか

井上亮著、新潮社2012.5.20刊。 「都市計画研究者による戦災復興に関する優れた研究書も少なからず出版はされているが、専門書であるだけに国民の間で広く読まれることはなかった」(はじめに、p3)、「この誇るべき戦災復興の歴史が忘れられている」(同、p2)…