都市イノベーション2020 Part2

国家戦略特区の都市計画が動きはじめました [2021.11.1時点の内閣府HPのリンク先追記]

国家戦略的な(都市)イノベーションを進めるために制度化された国家戦略特区が動きはじめました。 東京都の例でみると、「東京圏区域会議」のもとで現在「東京圏区域計画(素案)」が策定され、その巻末に候補事業一覧がつけられています。(下記資料「別紙」)ht…

『発展する地域 衰退する地域』(文庫版)

大西隆先生が1月11日の日経新聞「今を読み解く」に「提案は基本的であり、刺激的でもある」と紹介していたジェイン・ジェイコブズのこの本をさっそく読んでみました。ちくま学芸文庫2012刊。 なかなかジェイコブズらしく面白い内容です。文庫版では副題も「…

『21世紀の資本』(トマ・ピケティ)

みすず書房より日本語訳(山形浩生ら)が2014.12.8に出た本書の魅力とその意味を、自分の関心から3つあげます。(経済学者らの評価は擁護・批判も含めてたくさん出ているのでそちらで。) 第一。学者としてのすごさ。フランス革命直後からの膨大な所得データ等を…

『ユーラシア胎動 −ロシア・中国・中央アジア』

ウランバートル(モンゴル)、ハバロフスク(ロシア)、北京(中国)と、この2年間でこれまでとは違ったパターンの都市をめぐることになった結果、本書(岩波新書(新赤版)1247、2010.5刊)のようなテーマに興味が湧いてきました。近年、これら地域の世界史的見直しが…

『堺−海の都市文明』

15世紀後半から17世紀初頭にかけて繁栄し「東洋のベニス」といわれたという堺。11月29日の記事でとりあげた『近世都市の成立』では堺の「近世化」について徳川幕府による都市計画をとりあげています。それに対して本書(PHP新書104、角山榮著、2000刊)は、以…

『脱 限界集落株式会社』

都市イノベーション読本の第37話でとりあげた『限界集落株式会社』。そのなかで、「成功話というより「中間報告」的であるところも本書の魅力」と書いたことが作者にも通じたのか(?!)、「脱」が頭についた続編が2014.12.1に発刊されました。 「続」ではなく…

『夢のほっと館』

『Good Cities, Better Lives』の第2章を読み終えました(11月26日の話の続き)。 この章は英国の住宅問題に対するホール氏の問題整理で、住宅に対するきわめて低い投資の問題、政府の住宅予測が量においても住宅タイプにおいても地域的配分においても問題があ…

近世都市の成立

昨晩届いていた『図書』(岩波書店)12月号をペラペラめくっていると、ふと、「都市史研究から見た日本の近世」という対談が目に留まりました。なかなか興味深い内容だったため、そこに紹介されていた『岩波講座日本歴史』第10巻(2014.1.21刊)をさっそく買って…

大格差 機械の知能は仕事と所得をどう変えるか

タイラー・コーエン教授の新しい訳書。NTT出版、2014.9.18刊。 原題は「AVERAGE IS OVER」。 『創造的破壊』では解説の方が興味を持ててしまったように(⇒関連記事)、今回も読んだあとこの本は放置していたのですが、今読んでいる『Good Cities, Better Lives…

BEYOND SMART CITIES

近年注目される「スマートシティ」。ところが、この重要なはずの都市ビジョンが、例えば「ITや環境技術などの先端技術を駆使して街全体の電力の有効利用を図ることで、省資源化を徹底した環境配慮型都市」(知恵蔵mini)のように解釈され、一人歩きしているの…

『POLITICS OF URBANISM : Seeing like a city』

WARREN MAGNUSSON著、Routledge,2011刊。 ベルリンの壁崩壊後の「都市」の重大な意味を、国家(state)との関係で読み解いた一見難解な書。たいへん読む気になりにくい、英語がぎっしりと並ぶ、図も表も1つもない図書です。とてもきちんと理解できたとはいえま…

『錯乱のニューヨーク』(文庫版)

ベルリンの壁崩壊25周年ミニ特集第2回。 2年生のデザインスタジオでT先生がこの本を推薦した(?)との不確かな情報を得て、そういえばこの本は文庫本になったときに買った覚えがあるのに内容は記憶にないことを反省し、探してみると、前から20頁ほどのところに…

『コスモポリタニズムの挑戦』

ベルリンの壁崩壊(1989年11月9日)からあと2日で25年。「東」と「西」を隔てていた壁の消失は、もはや世界が資本主義一色の単一システムになったことを意味しました。これと歩調を合わせるように日本の中心市街地は衰退。先週開催された「沼津市中心市街地再…

『奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。』

中川政七商店 十三代 中川淳著。日経BP、2008刊。 とある大手メーカー勤めを2年で辞め、おやじの会社(メーカー)に入れてほしいと頼むも断られる。しかしあきらめずに意思の強いことを訴え入社を許される。 といったあたりからはじまり、小さな会社が認められ…

ローカルデモクラシーに与える近隣計画の4つの効果

さきほど届いたTown and Country Planning 2014年9月号に、近隣計画が実践され始めてから、おそらくははじめてとなる、近隣計画が地域民主主義に与える実際の効果に関する研究結果が紹介されています(p380-383)。 調査したのはリーズメトロポリタン大学。近…

都市計画システム国際比較(中日仏)ワークショップ

先週末に、都市計画システムを特に分権化(と集権化)の観点から比較検討するワークショップが北京で開かれました。どちらかというと中日仏という、「分権」だけの一筋縄ではいかなさそうな国々の比較を通してその特徴と課題を解明しようといった興味深い仕立…

New SubUrbanisms

「New Urbanism」の次の都市計画理論ともいうべき、「New SubUrbanism」論。 Judith K. De Jong著、ROUTLEDGE、2014刊。 第1章の「フレームワーク」がおもしろいです。郊外化というと住宅だけが郊外化したととらえられがちだが、当初よりアメリカ都市の郊外…

Happy City

自動車に占拠され路上でのコミュニケーションがなくなってしまった街中、郊外化により人がまばらになってしまった街中を市民の手に取り戻すことがHappy Cityへの近道であり、それはこれまでのやり方に比べて安く早くできることを、世界中の先進事例を紹介し…

Olympicopolis

本日、1か月以上も遅れて手元に届いたPlanning2014.8.1号をペラペラとめくっていると、「Shifting legacy」の文字が。 2014.7.9の記事ではロンドンオリンピックスタジアムの「その後」だけに注目していたのですが、その12日後の2014.7.21にロンドン市長のボ…

『アダム・スミスとその時代』

ニコラス・フィリップソン著、永井大輔訳、白水社2014.7.15刊。 あさってに投票を控えたスコットランド。そのスコットランドが1707年にイングランドと「合同」しグレートブリテン王国になることを選択した最大の理由とされる経済的メリットが大いに発揮され…