都市イノベーションworld(2)

『RULE BY AESTHETICS』

カリフォルニア大学バークレー校に提出された博士論文をもとに書かれた、目の覚めるように鮮やかな、地を這うように集められ考えられた、出色の書。Oxford University Press、2015刊。副題は「World-Class City Making in Delhi」。著者はAsher Ghertner。 …

『THE NEW URBAN CRISIS』

リチャード・フロリダが、ある意味自説の限界と問題点を全面的に認めた重要な書。BASIC BOOKS、2017刊。エピローグが加えられた2018刊で読みました。 本ブログでもポートランドのホームレス問題やニューヨークのアフォーダブル住宅との格闘を最近取り上げま…

「強制的包摂ソーニングの功罪」

月刊『UP』に最近連載されている「移民の街・ニューヨークの再編と居住をめぐる戦い」(森千香子著)を毎回楽しみにしています。今回はその「3」で、前回6月号のその「2」の際も言及させていただきましたが(⇒関連記事1)、2018.8号の標記の記事はさらに都市計画…

『史上最大の行事 万国博覧会』

日本語の“バンパク”という語感が心地良く、「そもそも万博とは」などと考えたことがこれまでなかった自分ですが、先週発売された本書に刺激されて、「都市イノベーションworld」の1つに加えます。堺屋太一著、光文社新書957、2018.7.30刊。まず、その定義か…

(文庫版)『民主主義の源流 古代アテネの実験』

都市計画家のP.Hallが『Cities in Civilisation』の中で、人類史上はじめて芸術が花開いた都としてとりあげたアテネ。アテネ以外にも古代都市はメソポタミアやエーゲ海などにたくさん現れたにもかかわらず、芸術のみならず哲学や民主主義、そしてなによりも…

江戸城外堀と清水谷

西郷(せご)どんも昨日からいよいよ後半入り。その親友、大久保利通が明治11年に暗殺された清水谷を酷暑の中、初めて通る機会があり、この付近の江戸城外堀も含めてその独特な空間に「江戸」都市計画の生きた姿や、明治初頭の東京の一断面を目撃できた思いを…

(文庫版)『ピラミッド 最新科学で古代遺跡の謎を解く』

未解明の部分が多いエジプト文明の都市。そもそもエジプト文明は長い間「都市なき文明」と言われていて、1998年の『古代エジプト 都市文明の誕生』(古今書院。古谷野晃著)でエジプト文明にも都市は存在したことを強調しているものの、「古代エジプト文明は、…

真夏の夜の夢 : ドバイの5ギガ太陽光発電施設

梅雨が明けたような暑さ。と思っていたら本日、関東では、まだ6月なのに本当に梅雨が明けたと発表されました。この熱波をエネルギーに変えることが容易にできれば、、、UAEのドバイでは、5ギガワットの巨大な太陽光発電施設の建設が進行しています。2030年(…

『地域創造論 Vol.2 』が発行されました

大学院で毎年行っている「地域創造論」のエッセンスを編集した『地域創造論 Vol.2 』が発行されました。今回は「ローカルからの発想が日本を変える、世界を変える。」をメインテーマとし、2015-17年度の3か年で実施した内容をまとめています。 http://www.yn…

短中長期の滞在が可能な住みたい都市

2018年6月15日。「民泊新法」が施行されました。インバウンド需要に本格的に応えるためには、まだまだ課題がありそうです。 ここでは、どのような滞在期間でも「はい、どうぞ。楽しく滞在してくださいね。」と対応できる都市が「選ばれる都市 」ではないか、…

日比谷公園

週末は人々でごった返す「東京ミッドタウン日比谷」にようやく(平日に)行ってみた際、天井の高い4階のフロアの全面ガラス窓の向こうに、今まで見たことのない風景が。 おお、これはすごいと近づいてみると、日比谷公園の緑を少し上から手に取るような眺め。…

ガーメントセンター運営委員会報告&勧告(2017)

昨晩、『UP(2018.6号)』をペラペラめくっていると、「都市再開発のフロンティアと人種・エスニシティの境界線」と題された森千香子先生(社会学)の連載が。連載全体のタイトルは「移民の街・ニューヨークの再編と居住をめぐる闘い」で、今回は「2」となってい…

琵琶湖疏水(その2) (京都と都市イノベーション(その5))

67年ぶりに琵琶湖疏水の舟運が復活することを知ったとき、2400メートルもあるトンネルをどう抜けるのかと心配しました(←もう乗ったつもり)。しかし日本の近代都市計画史上とても重要なこの遺産を体験しようとの気持ちが上回り「×」ばかりの予約表の中からな…

「1970年大阪万博」レガシー(大阪と都市イノベーション(その4))

「このハンバーグは、月から持ち帰った石と同じ大きさですョ!」 「……?、……!」 その徹底ぶりに驚き店内を見回してみると、「世界の国からこんにちは」などのディスプレイが全面に。 これは、「エキスポランド」が破綻したあとプロポーザル方式で選ばれた「…

アベニュー/ストリート/ブロック(その2)

この3月にポートランドに行く際、60メートル四方の小さな街区に驚いたというのが前回の話(⇒関連記事)。 先週、とある仕事の帰り道。関西からきた専門家A氏が、「大阪の街区が70メートル角のため開発が滞っている面がある」と。文献によれば「40間」とされる…

(映画)『ジェイン・ジェイコブズ ニューヨーク都市計画革命』

4月の都市科学部の授業で30分時間を与えられ「都市とは」について話すことになりました。その中で、『アメリカ大都市の死と生』(⇒関連記事1)はやはり重要で、特に、近年全訳され追加された第3部の、都市が自らアップグレードしていく(居住者が自らの生活環境…

『拡張の世紀 テクノロジーによる破壊と創造』

ブレット・キング著、東洋経済新報社、2018.4.12刊。1つ前の『プラットフォーム革命』が、その動態そのものの描写とその理論化を指向していたのに対し、本書は(プラットフォーム化は前提としつつ、)徹底的にテクノロジーがもたらす人間の未来を描こうとしま…

『プラットフォーム革命』(ロンドンイノベーション(8))

P.ホールが『Cities in Civilization』の最後のパート「Book Five」で見通すことが困難だった都市文明の将来。あまりに変化が激しく、人間が置かれた状況が大きく変貌しています。標題の図書に入る前に、都市の新しい経験から。 ロンドンのロイヤルオペラハ…

「市街地創造論」がはじまっています。

隔年開講の大学院科目「市街地創造論」が先週より始まりました。前回2016年度の内容を2年分新しくしました。オリンピックなどの都市とイベントを扱うテーマは小さくし、人口減少が進み新たな都市構造をつくる話題を設けました。東日本大震災からの復興を2年…

新しい都市計画システムの構築に向けて(1)

「新しい都市計画システムの研究」として行ってきた「近隣レベルの都市計画を統合する新たな都市計画システムの研究」がまとまりました。 今回は、近隣レベルの「まちづくりプラン」「まちづくりルール」「エリアマネジメント」などの成果を、どのようにした…