ぼくはお金を使わずに生きることにした

「世界を変えたければ、まず自分がその変化になりなさい」とのマハトマ・ガンディーの言葉を実践する、イギリスブリストルの29歳の著者(マーク・ボイル)が綴った実話。
紀伊国屋書店から2011年11月26日に発売されました。この日(11月の第4土曜日)は「世界無買デー」になっていて、「お金を使わずに」過ごす日。
2012年のスタートにふさわしい「都市イノベーション(?!)」図書としてご紹介します。
著者は金(かね)に依存しない新しいライフスタイルを広めるため1年間「お金を使わずに生きる」実験にチャレンジし(準備期間も含めたその報告が本書の内容)、その後も通算2年半にわたり金無し生活を続けたようです。現在はさらにその次の運動に展開する段階とのこと(2011.10の訳者あとがきによる)。
このブリストルという都市。たとえば、サストランス(Sustainable Transportの略語からとっている)という団体(運動)は、オイルショック後の1977年7月7日にこの都市に誕生し、鉄道廃線敷を5マイルにわたって自転車・歩行者専用道路としてオープンさせたのを皮切りに全国各都市に自転車道を拡大。今ではイギリスの公共的交通を担う重要な主体として成長をとげているなど何か起こりそうな都市といえるかもしれません。しかしもう少し大きくとらえると、イギリスという国は、ナショナルトラストもタウンセンターマネジメントもハワードの田園都市も、最初はこうした1人の「自分がその変化になる」行動が共感を呼び仲間が増え組織化が進み…といった具合に公共性を次第に獲得し、やがてその推進母体として社会をリードしていく国にみえます。
マーク・ボイル氏の活動には国内でも賛否の声があるようですが、それはともかくとして、「ぼくはお金を使わずに生きることにした(原題は、THE MONEYLESS MAN A Year of Freeconomic Living)」という本が出たとの情報を得て、「どうやって暮らせたの??」との疑問がふつふつと湧き出し、純粋にそれを知りたいとの思いで飛びついた図書でした。