近代都市パリの誕生 鉄道・メトロ時代の熱狂

今回は、前回ご紹介した‘世界を変えた24の汎用技術’のうち13番の鉄道(Railway)が都市にもたらした影響を論じた「驚きの好著」。この「驚きの好著」という表現。日本語的には変な感じもしますが、正直に表現するとこういう感じの本です。
北河大次郎著、河出書房新社(河出ブックス)、2010.6刊。
従来、パリの都市計画は建築と街路空間、水や緑の空間等の公共空間の計画性について語られてきましたが、本書は、そのパリに高架鉄道が縦横に建設されてパリの景観がまったく違ったものになっていたかもしれない(実際にはメトロとして地下を通した)、という観点から、当時の鉄道の導入過程を論じたものです。「都市史と鉄道史を横断するまったく新しいパリ論!!」との宣伝文は誇張のようにも見えますが、著者のこだわりが十分すぎるくらいに詰め込まれた、「!!」にふさわしい内容となっています。