フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来

ニューヨークタイムズ紙コラムニストのトーマス・フリードマン著(伏見威蕃訳)、日本経済新聞社、2006刊(UPDATED AND EXPANDED版)。
本書は、インターネット(汎用技術22番)が世界経済や都市システムに与える影響についてリアルにかつ体系的に綴った、今でも気になる図書です。読んだ方も多いはず。
第1章の「われわれが眠っている間に」に凝縮された本書のコンセプト。多くの業務が地球の裏側へとアウトソーシングされ「バリューチェーン(価値連鎖)をデジタル化し、切り分けることができ、作業をよそで行えるような活動は、いずれよそへ移されます」。書類の作成や画像処理はもちろんのこと、ジャーナリストの仕事の一部も切り取られて「別の場所」でできるようになってきた世界。第2章の「世界をフラット化した10の力」は、2012年の今読んでもジャーナリストならではの足で稼いだ具体性が光ります。
フラット化した世界では、アウトソーシングできず最後まで残る個人の能力とは何かが問われるとともに、都市そのものも、こうした世界でどうやって持続的に進化するかが問われています。