イギリスに学ぶ 成熟社会のまちづくり

学芸出版社、1998年刊。
「右肩下がり」「人口減少」などがキーワードとして語られる日本の昨今の状況ですが、百年も前にその段階にさしかかっていた「先進国」イギリスが、なぜ今でも元気なのか? イノベーティブなのか? などという素朴な疑問から、『成熟社会』という言葉をキーワードにイギリスをウォッチした自著です。
なかでも「成熟社会のまちづくりを読み解く3つの手がかり」のタイトルをつけた第5章が、本書の「まとめ」。ここでは、「制度基盤」「専門家」「市民基盤」の3つの構成要素のバランスある総合力が『成熟社会』を支えているのではないかと読み解き、それらの諸要素がどのような経緯を経て今日に至ったかを、できるだけそのルーツにまでさかのぼって明らかにしています。
これまでの日本は“力任せ”に成長をとげてきたとはいえ、「右肩下がり」「人口減少」などの大きな変化に対応していくためには、小手先の対応ではなく、日本型『成熟社会』の構築に向けた総合力の強化が必要だと思います。そのような視点から、都市イノベーション学府・研究院の教育・研究にこれからも携わっていきたいと思います。 (都市イノベーション読本・終)