南相馬市の状況(その5)

(その4)から約5ヶ月が経過した2012年11月1日時点で南相馬市内に居住する方は約49500人(=a)と、この5ヶ月で約2100人増加(回復)しました(その前は6ヶ月で2600人)。ほとんどが原町区での増加です。市外に避難している方は18500人(=b)と、6月の19900人から1400人減少しています。減少のスピードは落ちましたが「転出」は少なくなり、この5ヶ月では「自宅」と「借り上げ住宅等」の形で市内に戻られた方が多かったのが特徴です。一方で、「平成23年3月11日に南相馬市民だった方で平成24年11月1日時点で市内に居住する方(=c)」と「平成24年11月1日現在の居住者数(=d)」との差がさらに増えて約4000人となりました(前回は約2800人)。つまり、さきの「5ヶ月で約2100人の増加」のうち約1200人は、この5ヶ月の間に新たに南相馬市に住むようになった方と読み取れます。南相馬市以南の町などから避難された方などがさらに多くなっているものと思われます。
このあたりの点を今朝の朝日新聞(限界にっぽん第1部(10))では、「南相馬では、放射線量を下げる除染が始まり、市外に避難した人が戻りつつある。だが、ほかの地域からの避難者たちも新たに住むようになり、住宅難が深刻だ。公営住宅づくりは時間がかかる。市は補助金で民営住宅の建設を促しているが、政府の復興交付金を使ったことで、居住者は除染作業員らに限定された。」などと分析しています。
元々12800人ほどの人口のあった小高区(旧小高町)の警戒区域が2012年4月16日に解かれたものの、まだ居住はできず、復旧・復興作業もすぐには進まず、最も大きな課題になっています。

最後に、いつものように『南相馬市復興計画』において「計画期間である10 年後(平成32 年度)には、震災前の予測人口62000人よりも増加させることを目指します」としている点について(a+b)を数字でみてみると約68000人となり、11ヶ月前の約67700人を上回ってきました。(2011.3.11時点の人口は71561人)
津波で甚大な被害を受けた東北電力原町火力発電所2号機が11月3日に試運転を開始。1号機も12月下旬には試運転に入り、来春には2機とも営業運転を再開予定とのこと。
地域の拠点都市として、新たな役割も担いながら、少しずつ復旧・復興していく様子がわかります。

(その4)

[参考]本ブログの東日本大震災復興計画・復興事業「★統合ファイル