地域が連携し「住みたい都市」をプロデュースする

横浜で都市計画学会全国大会開催(11月8,9,10日)

信長の城

第79話の今回は、はじめての切り口です。岩波新書2013.1.22刊。
都市イノベーション読本ではこれまで知らず知らずのうちに、今ある都市をどうイノベーションするか、という観点が強くなっていました。それに対して本書は、多くの日本の都市のルーツといえる城下町という形態・体制がどのようにイノベーションされてできたものかについて(正確にいえば、中世の城から近世の城への進化・革新を扱っている)、近年体系的に行われた発掘作業等の成果を踏まえて体系的に論じています。信長若かりし頃の清須城などの前史のあと、小牧山城岐阜城、そして安土城に進化・脱皮していく過程が、できる限り実証的に、その背景や意図とともに語られていきます。著者の興味の中心は城そのものではあるのですが、進化の途中から城と城下町がセットでなければならない必然性というか信長の強い意図が論じられており、それは中世的な権力の地域支配構造を近世的な支配構造へと脱皮させようとする信長の行動そのものとも重なって、城下町というイノベーションが強く印象づけられます。
新谷洋二先生の『日本の城と城下町』(同成社、1991)によれば、「近世初頭の時期に、数多くの城下町が計画的に造られ、そういう形で造られた町が発展して大きな都市となったものがきわめて多い」(p.159)。とすると、近世の入口の段階で到達しようとしていた城下町というシステムは、その後の政治経済構造の大きな変化にもかかわらず、それらを超越するかなり普遍的な(日本の)都市の姿であったと、少なくともこれまでは言えたのだと思います。