瀬戸内国際芸術祭2013

第88話。トリエンナーレのスタイルとなってから第2回目の瀬戸内国際芸術祭がはじまっています。今回は、春、夏、秋の分散開催。公式ガイドブック『瀬戸内国際芸術祭2013』(美術手帖2013年3月号増刊)を片手に、さっそく春の瀬戸内の島々を回ってきました。
行く前に周りの院生などに「(これまでに行った中で)どこが一番良かった?」と尋ねてみると、「犬島」がかなり群を抜いていたことから、大いにそれを参考に。
犬島精練所美術館。今年から「美術館」に名称変更したこの施設の中心である近代化産業遺産。その独特の遺産の内容や遺産としての公開の方法、公開の際にデザインされた独特の空間などがとても印象的でした。以前は案内人の付添が必要だったようですが、現在は自由に回れます。
高松の中心街にも<瀬戸内国際芸術祭>のフラッグが大量に掲げられるなど、この活動がジワジワと波及していく様子が伝わってきます。
サブテーマも2010年の「アートと海を巡る百日間の冒険」に対して今回は「アートと島を巡る瀬戸内海の四季」。若者が圧倒的に多数でしたが、子供連れや団体、高齢の母を連れた娘、外国人など、観光としても、教育としても意味のある内容。いろいろな関わり方や見方のできる、多様性をゆるやかに包み込みながら進化する運動なのだと思います。
たとえば豊島の産廃処理問題もまだ道半ば。2003年から隣の直島に持ち込んで始まった本格処理ですが、まだ6年ほどかかる見込みのようです。「アート」に惑わされることなく、とはいえ「アート」の可能性もひろげながら、現代の課題を持続的に解決する仕組みを模索していく必要があります。
そんなことを考えていると、いつの間にか、福島や東北の復興の姿を重ねていました。1つ1つは点にすぎなくても、それらが共通のビジョンをもち連携・連合・進化することでいつか必ず遂げられるものだと。