CITY RULES

Emily Talen著、ISLAND PRESS、2012刊。副題は「How Regulations Affect Urban Form」。
第20話のTALEN教授の近作です。一見、教科書的で一般的な内容にみえる本書ですが、ゾーニングの歴史を「Pattern」「Use」「Form」の3つの面から読み解き、その改革の動きを客観的にとらえた労作です。カラー地図や写真が多く入った事例集としてみることもできます。
ヨーロッパ(特にドイツ)のゾーニングの発想を取り入れつつアメリカ独自に確立したゾーニング制度ですが、その後の自動車の発達や社会経済の変化によってさまざまな性能を満たすべきツールへと変容した結果、機械的な運用となり、また、その場その場の都合に合わせてさまざまな規定が付け加わって複雑化していきます。さらに想定外のこととして、用途分離を基本とするゾーニングがスプロールを助長して都市問題の元凶となっていきます。
そして「改革」の実践。その1つとして注目されているFBC(Form-Based Code)は2010年にマイアミ市が大規模都市としてははじめて全市にこの新たなゾーニングを導入したこと、デンバー市が2番目に続き、さらにバルティモア、ダラス、ヒューストンが検討中であることなどが紹介されています。とはいえ、空間形態を主軸に都市をつくりかえようとするこうした動きに対して建築家からの批判が絶えないことなどもバランス良く書かれていて、結論は問いかけの形で終わっています。
Will planners now be able to present as clear a consensus and vision about what the effect of rules should be as urban planners did a century ago?