山手線に新駅ができる本当の理由

市川宏雄著、メディアファクトリー新書055、2012.8.31刊。第97話です。
2012年1月4日に報じられたこの話題は、品川リニア新幹線駅、羽田空港国際線増便、成田と羽田の一体化をサポートする新線(都営浅草線のバイパス)建設、東北縦貫線建設、アジアヘッドクオーター特区構想などと共に、グローバル時代の東京にイノベーションをもたらすと考えられる動きの一コマです。本書は、これら一連の話題を2012年半ばの時点で一通り整理していて、(一見軽そうな題名とは裏腹に)東京という都市に対する意味や意義をわかりやすくまとめたものです。
これだけの重要な話題群をいちどに扱おうとすると普通は焦点がボケてしまうところを、「山手線の新駅」を話題の要に据えることで焦点が定まり、このあたりが「首都東京の11番目のダウンタウンになれるか」と問うことで(既存の10箇所は、銀座、大丸有、日本橋、赤坂六本木、浅草、渋谷、新宿、池袋、臨海副都心秋葉原)、実際の都市づくりに向けた課題や可能性を整理し、まとまりを確保しています。
もうすぐ本書の発刊から1年。この1年の間だけでもこれらの話題群にさまざまな動きがありました。本日6月4日より羽田からドバイ便が毎日飛ぶようになり、すぐそこにドバイが近づいたような気がします。ドバイから東京都心にもアクセスしやすくなったはず。
2015年春までに最初のステップがさまざまに見込まれていて、その波及効果や関連事業なども含めて観察していると、「毎日が都市イノベーション」の貴重な機会に立ち合うことができそうです。