ビル・カニンガム&ニューヨーク

第22話コクリコ坂から」に次いで2つめの映画です。第98話の今回はドキュメンタリー。
50年間ニューヨークでストリート・スナップを撮り続けてきた「The New York Times」の人気ファッション・コラムニストの実像を明らかにした快作。ビルは、毎日自転車でNYの街頭に繰り出し、ただひたすら魅力的なファッションだけをカメラに収め続けます。もちろん衣服だけが写真に写るわけでなく、被写体の動作や、背景となっているニューヨークという街そのもの、そこで暮らし働く人々の姿が映し出されます。映画としてはそうして写真を撮っているビルの姿を撮っていることになり、自然にその世界に引き込まれていきます。
「最高のファッション・ショーは常にストリートにある」、とビル。
「最高の都市イノベーションは常にストリートにある」。「都市の本質は路上に宿る」。
ジェイン・ジェイコブズの声がきこえてくるような気がします。

などと考えていたら6月4日の日経産業新聞に「イノベーションは学べる」と題して、スタンフォード大学バイオデザイン講座の話が出ていました。徹底して現場からニーズを発掘し、絞りに絞ったニーズに対するアイデア出しをたくさん行い、評価・選択し、試作品づくり、ビジネスプランや資金調達手法検討に至るというもので、まさに「イノベーションは現場から生まれる」との考えにもとづくメソッドであると。

(参考)ビルがNew York Timesホームページで毎週連載しているコーナー[ページ右上]
http://www.nytimes.com/pages/fashion/index.html