近隣計画の効力をめぐるリアルな議論

近隣計画への取組みの拡大に伴い、具体的かつ重要な議論がなされるようになってきました。
Planning9月20日号と10月4日号の記事をもとに議論を整理すると、1つは、策定途上の近隣計画が計画許可の判断材料となるのはどの時点からかという議論、もう1つは、全市マスタープランや他の判断材料と比べて近隣計画にどのような重みをもたせるべきかという議論です。

まず前者について議論の起こるきっかけとなったのが、オンライン化した政府のガイダンス欄(⇒2013年6月17日記事)に9月10日に書き込まれた案の文章です。近隣計画が有効となる時点が、それまで想定していたよりずっと後であるとの内容だったことから「提案されたガイダンスはローカリズムへの脅威となる」との見出しで9月30日号の解説が掲載されました。策定途上の近隣計画に対するインスペクターや自治体当局の判断例も3例示されていて、近隣計画側からみて「1勝2敗」と読める内容です。
このオンランガイダンス。今年いっぱい意見を受け付けたあと正式のガイダンスが確定する予定です。

後者については、10月4日号冒頭の論説において「ローカリズムには制限があるべきだ」との見出しで編集者の意見が出ています。ローカリズムは重要な政策とはいえ、開発の良し悪しを近隣の視点だけで決めるのは不適切であり、その自治体全体のマスタープランや、場合によっては国の視点が入いるのは当然だと主張。しかしながらこうしたしがらみに揉まれて近隣は強くなるのだとも言い添えています。

[参考]本ブログのイギリス最新都市計画「★統合ファイル