10の建物から読みとるデトロイトの物語

Town & Country Planningという雑誌の2014年1月号に、標記の興味深い解説文が掲載されました。
2013年7月に破たんしたデトロイト市の課題を、10の建物から構造的に読み解くもの。「住みたい都市」とは真逆の現実といえばそれまでですが、なかなか迫力のある他にない内容です。
1つめが1913年にフォード自動車を生産しはじめたハイランドパークプラント。20行ほどの短文の中に、その後の歴史も含めたこのプラントビルのインパクトが綴られています。2つめがブックタワー。当時のプロフェッショナルたちが集結したこの38階建てビルも2009年に最後のテナントが退去したあと空きビルのままのようです。3つめのミシガン中央駅。1988年に空きビルとなって以来、再開発も難しく放置されており、なんとも皮肉なことに「見捨てられたデトロイト」を見るための観光名所になっているとか。
このあと、住宅地の郊外化と人種差別の問題、ショッピングセンターの郊外化とさらなる郊外化の歴史、なんとかデトロイトを再生しようとする3つの取組み(6,7,8番目の建物)、しかしながら構造的に課題が解決できない理由(9番目の建物の説明)、そして10番目の建物は打ち捨てられた都心近くの住宅です。
この筆者は、誰もが「うちの都市はこんなことにならない」と思っていると思うが、ポスト工業都市が最後にどうなってしまうのかを気にかけるべき、と訴えています。