生物に学ぶイノベーション 進化38億年の超技術

8月。魚のように速く泳げる水着が魚から学んでつくられたように、今、さまざまな分野で生物に学ぶイノベーションが注目されているとの観点から、「進化38億年の超技術」を副題に、多くの事例が語られる本書(NHK出版新書440、2014.7.10刊)。最適化社会から自律化社会へ、そして自然化社会へと社会は進化しつつあるとの見立てです。序章と終章では生物の進化の観点から人間の文明や「ものづくり」のあり方などが語られているとはいえ、本書の主題は「生物の形をまねる」「生物の仕組みを利用する」「生物がつくったものを活用する」「生物そのものを扱う」という最初の4章。テクノロジーそのものが本題といえます(「生態系に寄り添う」の第5章で生物の進化そのものや人間社会のあり方への橋渡しが少し書かれている)。「生物規範工学」とされるこの分野。社会へのあり方に対する示唆はされているとはいえ、これらの純粋テクノロジーを人間がどのように使いこなして都市や社会をイノベーションしていったらよいかについては、まだまだ考えるべき点が相当ありそうです。

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