(ミニ特集)近隣計画の運用(その3) 近隣フォーラムによる場合

「近隣フォーラム」による近隣計画第1号(近隣計画全体では第3号)となったエクセター市のSt James近隣計画が2013年7月16日に採択されてから1年半が経ちました。計画内容とその後の経過をレビューしてみると、いくつかの興味深いことがわかります。
第一。そもそも「近隣計画」とはいうものの、St Jamesの場合、37頁ある内容のうち、狭義の近隣計画にあたる部分は1頁だけ(p13)。むしろ近隣計画策定の背景や市における位置づけ、主要目標等が冒頭部分でていねいに記述されています。14頁からは「Delivering the Plan(プランの実現)」が21頁にわたり書き込まれています。うち前半が「プロジェクト」。計画策定過程で出された意見を踏まえつつ凝縮して、これこそ重要、という内容をその実現方策まで含めて記述しています。後半が「ポリシー」。これもていねいに書かれており、市全体のマスタープランでは手が回らないローカルな特性の保全・開発・整備に対する方針が縷々つづられています。市当局が計画許可判断する場合に考慮されるべき(してほしい)内容。運用過程をみていくとおもしろそうです。
第二。その近隣計画の策定と並行して、フォーラムが主体となる活動が起こってきています。とりあえず、資金の獲得、開発への対処、住民の最大の支持を得たコミュニティーガーデン整備の3つがあげられます。どれもおもしろそうですが、最後のコミュニティーガーデン整備だけ少し紹介します。これは「プロジェクト」の筆頭にあげられた主要事業です。地区の中心にあるQueens Crescentと呼ばれる広場が荒廃していて、それをなんとかしようと資金集めからはじまり、その運営組織をつくり、段階的事業計画を立て、ワークショップにより3案から1案にデイザイン案を絞ったところまできました。そろそろ工事がはじまる頃かもしれません。
「計画」というと「絵に描いた餅」と批判されたりしますが、近隣の特性に磨きをかけるような実行可能な計画を立て、近隣が主体となって取り組む都市計画システムの先進事例ではないかと思います。2015年5月の選挙で首相が変わり制度的変更が行われることも考えられますが、Localism Actによる成果がこうしてジワジワとあらわれはじめたことが、法施行(2012年4月6日)後3年弱を経て、ようやく見え始めました。
[St JamesフォーラムのHP]http://www.exeterstjamesforum.org/