general power of competence

2011年のLocalism Actは冒頭の部分(第1部第1章)で地方自治体の一般権限を定めていますが、なかでも重要なのが「general power of competence(一般能力権限)」です。
それまでの地方自治体の権限は、「general well-being powers(一般福祉権限)」と呼ばれ2000年地方政府法で規定されていました。これに対してローカリズム法では「general power of competence(一般能力権限)」を与え、いくつかの制限事項はあるものの、(a)イギリス国内外において、(b)地方自治体が課金を課すなどの行為ができ、それは自分の自治体のためでもよいし居住者のためでもよいし地域とは関係ない別のベネフィットのためでもよい(c)としました。
地方自治体の権限に関する制限をとり払い、普遍的パワーを与えたものです。この規定の導入の直接の背景となったのは「The LAML case」と呼ばれる判決です。ロンドン北部の自治体が連携して「general well-being power」により相互保険会社を設立しようとしたところ競合する民間事業者から異議があり、結局設立が認められなかったことから、自治体の権限強化の必要性が認識されていたものです。
その「general power of competence」は基礎自治体等に与えられるもので第8条にそれらが列挙されているのですが、昨日、一昨日ととりあげてきたパリッシュもその中に加えられています。ただしパリッシュがそうした権限を行使できるためには条件があってそれは命令(The Parish Councils (General Power of Competence) (Prescribed Conditions) Order 2012)に定められています。パリッシュ議員定数を定めそれをパリッシュ議会で決議すること、地域政策に関する高等教育を受けた資格をもち「general power of competence」に関するトレーニングを受けた事務官がいることがその主要な内容です。
このように、Localism Actはそこで定める理念を行使するための受け皿として基礎自治体のみならず歴史的に蓄積された地域の民主的機能を整え直し、地域からの多くの主体が力を発揮することで「Big Society」を実現しようとするものと理解することができます。