ビジネス近隣計画がはじめてレファレンダムを通過しました

イギリスの総選挙は保守党の勝利に終わり、都市計画の分野においても今後5年間、とりあえず安定的な環境ができました。
実は5月7日にはセントラルミルトンキーンズのビジネス近隣計画の投票(レファレンダム)がありました。(⇒その経緯は近隣計画の運用(その12)へ。)
現地時間の昨晩7時頃その結果が判明しました。(⇒それを伝えるHPへ。)

このレファレンダム。大規模ニュータウンのタウンセンターをまるまる含む重要なエリアであることから、結果的に、投票権者の範囲はミルトンキーンズ全体とされました。
ビジネス近隣計画であるため、住民による投票と事業者による投票の2つがあり、どちらも過半の支持がなければ計画は有効と認められません。結果は、以下のとおりです。
住民投票
「yes」89801、「no」17133、無効6454。(yesの率84%)
投票率60.99%。有権者185902。
◎ビジネス関係者投票
「yes」356、「no」47、無効1。(yesの率88%)
投票率63.8%。有権者743。〔(その12)で有権者とした数は、登録すれば投票できる権利があった数のもよう〕

とりあえずビジネス地域での近隣計画が成り立つことが示されたわけですが、ここに辿り着くまでにはさまざまな議論がありました。(たとえば審査方法への不満については資料1へ。)
あまりにハードルが高いため、他のビジネス地区では進捗状況が悪いようです。

それでもこの記事を「都市イノベーション2020」としているのは、こうしたビジネス地区においても街の将来をビジネス主体だけで決めずに、より広い範囲の市民が計画に対して投票するという、イギリスらしいやり方をとっている点が注目されるからです。果たしてこうした方法がよいのかどうか、改善点はないのかといった議論は今後も続くと思われます。

[資料1]http://www.davidlock.com/wp-content/uploads/2015/03/OTF2-March-2015.pdf