浜通り地域の復興の現状(その4)

1月15日の記事で、「まちなか再生計画」の認定が、甚大な津波被害を被った地域に復興市街地が立ち上がってきたことを示す指標になるとの考えを述べましたが、原発被災地は別です。まだ帰還が認められていない地域が広範に広がるため、復興も復旧もできない現実もあります。
これまで本ブログでは、1)浜通り地域へのアクセス確保と、2)中心都市である南相馬市への住民帰還の状況を継続してみてきました。前回の報告からかなり経過したので、継続して「その後」をまとめてみます。

まず、1つめの、浜通り地域へのアクセスについては(その3) (その2)で書いた内容と大きくは変わっていません。2016年、2017年、2018年に少しずつ、「最後の約20キロ」を除く区間常磐線の復旧が進みつつ沿線の町への帰還ができるようになると計画されています。住民意向調査を継続的にみると(⇒復興庁HP)、次第に、帰還が可能かどうかを判断するために前提となる、買い物や病院などの具体的な課題が多くあげられるようになっているように感じます。

2つめの、中心都市となる南相馬市の最新状況は以下のとおりです。前回の記事(2013.10.31時点の内容)からさらに2年強が経過しています。2016年4月に小高区への帰還が可能になるのを前にした2016年1月14日時点で市内に居住する方は約55300人(=a)と、51300人から4000人増加しました。市外に避難している方は約10500人(=b)と、2年前の15000人から約4500人減少しましたが、「死亡」「転出」が約4000人であるため、避難先から市内に戻った方は数字上500〜600人ほどです。「平成23年3月11日に南相馬市民だった方で平成28年1月14日時点で市内に居住する方(=c)」と「平成28年1月14日現在の居住者数(=d)」との差が約8000人(前回は約4600人)とひろがり、避難者が市内に戻って人口が回復しているというよりも、新たな市民が増えて人口が少しずつ増加しているようです。平成28年1月14日時点で「他市町村」からの避難者は約2300人とされるので、約5700人は被災後新規に南相馬市民となったと考えられます。いまだ南相馬市からの避難者が千人を超えているのは、お隣の相馬市(1080人)、福島市(1101人)で、仙台市は千人以下の730人になりました。
小高区への帰還(被災前12842人の居住者が現在は0)がはじまるとどうなりそうかの見通しを「南相馬市の状況(その7)」に書きました。半数以上が市内の原町区や鹿島区に避難しているため、人口が大きく回復するというよりも、小高区から市外に避難している残りの半分の方々のうち高齢層の方々を中心に小高区に戻る時期がゆるやかに続き市としての人口もゆるやかに増加するものと思われます。

[参考]本ブログの東日本大震災復興計画・復興事業「★統合ファイル