ロンドン初のパリッシュが主体となる近隣計画策定中

「何だ、これ?」
ほぼ全域で近隣計画を策定中のロンドン・ウエストミンスター区では(⇒関連記事)その後多くの近隣計画区域でその策定主体となる「フォーラム」が設立されていますが、設立されたフォーラムのリストの欄外に、「The Queens Park Community CouncilはParish Councilとして近隣計画を策定しています」とわざわざ書いてあることに気づきました。
調べてみてわかったのですが、この「The Queens Park Community Council」はロンドンで初めてのパリッシュで、2014年5月に設立されました。正確にいうと、ロンドンにおけるパリッシュ(civil parish)は1963年にGreater London Councilができた際に廃止されましたが、2007年に法律が改正されてロンドンでもパリッシュが設立できるようになっていました。「Localism」政策によってその気運が醸成され、第1号のパリッシュが誕生。この近隣は地図でみるとわかるように、ウエストミンスターといっても西北の端に位置し、貧困や失業といった課題を抱えた地域。自ら地域民主組織を立ち上げることによって、都市計画だけでなく、地域課題に幅広く取り組んでいこうとしたものです(下記URL)。
http://www.queensparkcommunitycouncil.gov.uk/council

ロンドン都心部ウエストミンスター区にはイギリス都市計画の最新の話題がいっぱい。近隣計画1つをとっても、メイフェア(映画『マイフェアレディー』の舞台)やソーホーでどんな計画をどうやって立てるのか、BIDのような商業者中心の取り組みと近隣計画をどうやって関連させながら活かそうとしているのか、近隣と区全体の2層構造でどうやって都市計画を維持していくのか、などなど、やっぱりロンドンから目が離せません。
また、ロンドンにパリッシュが設立されたことは、地域民主主義の根幹にかかわる重要な出来事です。フォーラムが策定主体となった近隣計画では、策定後の運営主体の持続性の面でやはり不安が残ります。どちらがよい、というものでもなく、一長一短があるものと思われますが。

EUから離脱するかもしれないとの話題も(超国家)、スコットランドが独立しそうな話題も(United Kingdom)、自治体の中にミニ自治体ができる話題も(今回のパリッシュ)、イギリスという国が常にリ・スケーリングを繰り返しながら時代に適応し、また時代を創りだしていくたいへんダイナミックで興味深い側面です。

[関連記事]
・近隣計画の取り組みが全域に広がりつつあるWestminster
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20130925/1380101087