近隣計画の運用(その15):たった8人ではじめたロンドンブレント区Sudbury Town近隣計画

ロンドンでは「取り組みが著しく遅れている」「2つのフォーラムだけしか進展を示していない」との情報に、3つめはまだまだ先のことだろうと思ってふり返ってみると、2015年8月10日にロンドンブレント区のSudbury Town近隣計画がレファレンダムを通過していたことを“発見”しました(第4号はまだ発見していません)。
https://www.brent.gov.uk/services-for-residents/planning-and-building-control/planning-policy/neighbourhood-planning/sudbury-town-residents-association/

サッカーの聖地ウエンブリースタジアムの西約2キロ。第1号のNorland(⇒近隣計画の運用(その4))や第2号のFortune Green(⇒近隣計画の運用(その13))に比べると、ごく普通の郊外住宅地です(に見えます)。
仮の視点を提示すると、「このようなごく普通の市街地でつくる近隣計画とはどういうものなのか」という興味・論点です。

この街を良くしたいと8人ではじめた活動からはじまり、後に近隣フォーラムとなるSudbury Town Residents’Associationを結成。最初の会合は2011年2月に開催されます。2012年12月にフォーラムに認定。そこから数えて3年弱、最初の会合から4年半で近隣計画が公的な計画になっています。
近隣計画の内容も、きっちりと計画許可のための政策や方針・基準が書き込まれているというよりは、「こうありたい」「こうしたい」という思いが素朴に綴られているような内容(もちろん、エビデンスの記載などもあり、単なる思いだけではありませんが)。それを象徴するのが「ASPIRATION」という枠で囲まれた記述方法です。普通の「方針」にあたるものは「POLICY」という枠で囲まれた中に記述されている(記述内容は素朴であるけれども方針は方針)のに対して、都市計画という制度の枠には入らないけれどもこれだけは言っておきたい、呼びかけたい、是非とも実現したいという思いを「ASPIRATION」の枠内に記述しています。4つある目標のうち2つは「POLICY」より「ASPIRATION」の方が多いくらいです。
こういう事例をみると、親近感が湧いてくるというか、近隣計画という制度がもつ素朴な意味・意義が理解できるというか、「まちづくり」が普遍的であることを確認できます。

[参考]
Localism and Planning (イギリス最新都市計画統合ファイル)