EU離脱とイギリス都市計画の課題

Planning誌の2016.6.30号では、巻頭文(p3)などに、EU離脱後のイギリス都市計画の課題がいくらかまとめて書かれています。まだ投票結果が判明した直後の記事ではありますが、論点を少し整理しておきます。
第一。EU法で決めていた環境影響評価や生物生息地、大気の質などを国内法で決め直す必要がある。その際、イギリス独自の考えを出せる面もある。こうした課題はむしろ時間がかかると予想される離脱過程で処理していくことになるだろう。同様に、EU財源による不況地域政策等も国内版に切り替えていく必要が生じ、地域的な浮き沈みに結果するかもしれない。
第二。離脱により大陸からの移民が減ったり経済の落ち込みで地価も下がるなどして、そもそも想定していた人口増・世帯増がかなり少なくなる可能性もあり、そうすると、ローカルプラン等でギチギチにエビデンスをもとに計画していた前提が崩れ、計画の見直しをしなければならなくなる可能性が出てくる。実務的にはかなりたいへん。
第三。そうした落ち込みは、たとえばロンドンの高かった地価が下がって新たなチャンスが広がる面もある一方、不動産開発という面では落ち込みをカバーするべく規制緩和のような政策も必要になるかもしれない。2016/17国会で審議予定の「Neighborhood Planning and Infrastructure Bill」の議論の方向にも影響してくるかもしれない。
第四。ロンドンの新空港やハイスピードレール計画といった国家的ビッグプロジェクトも、これまでの想定通りにはいかなくなる可能性もある。

既にこの6.30号が出たあと新しい首相も大臣も決まり、内政も重視した堅実な舵取りがなされそうな気配です。