『CITIES IN CIVILIZATION』(その4) Book Four

タイトルは「The Establishment of the Urban Order」。
Book Oneがアート(ギリシャからはじまる)、Book Twoが技術、Book Threeがアートと技術の融合ときて現代まで達したあと、このBook Fourでは都市の秩序づけを扱います。むしろ、都市が破綻しないようにイノベーションで乗り切った(乗り切ろうとした)歴史を取り出しています。ローマの水道、伝染病が蔓延した古い都市を異なった方法で克服したロンドンとパリ、超過密問題を交通網の整備や橋やトンネル技術の革新の積み重ねで乗り切ったニューヨーク、車の増大に合わせフリーウェイによるネットワーク化の途を選んだロサンゼルス、戦後福祉国家の模範とされ差別なく国民に住宅や社会サービスを提供したストックホルム、産業構造がかわり社会経済が落ち込んだドックヤードを大胆に再生して復活したロンドン。
こうして並べてみると、「確かに教科書的にはそうなんでしょうけど、何かおもしろいこと書いてあるの?」との疑問も。まとめのはずの第29章もあまりぱっとしません。

そこで、自分なりの発見をいくつか。
第一。P.ホールは何に興味があるのか。「order」という切り口を何故設定したか。都市が成長するときある壁にぶつかる。とても大きな壁で乗り越えるのはたいへん。逆説的だが、すいすいと先に成長した都市が最初に壁にぶつかる。ローマの水問題が人類最初の壁で、乗り越えるまでの描写は執拗かつ体系的。他の壁もすべてそうです。
第二。壁の乗り越え方はどれも違う。だから第29章をまとめにくかった。あえていえば、「壁にぶつかったからなんとかしようとした」。
第三。ストックホルムだけは、壁にぶつかってから乗り越えられたかどうか書いてない(どちらかというと悲観的)。最後のロンドンも、まだ評価できないと保留しているようにみえます。

人類の都市の進化をこのように大胆にも「壁」を乗り越えることの積み重ねとして描いたところに、このBook Fourのおもしろさがあるのだと思います。

【in evolution】世界の都市と都市計画
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