CILの話(その5):集めた資金を地域で使うためのさまざまな工夫

先週末、「ヨコハマ市民まち普請事業」活動懇談会があり、とある役割をいただいて参加してきました。評価の高いヨコハマ独自のこの仕組み。昨年度までの実績でみると、このところ毎年3事業に各500万円が配分されています(計1500万円)。地域で独自に事業を企画しそれを達成するために皆でがんばるこの仕組みがたいへん注目されています。
ところで、CIL(Community Infrastructure Leve)にも似たようなところがあり、それについてこれまで4回報告してきました。

(その4)で「2013年末までに徴収をはじめた初期32自治体のこれまで(2017年半ば頃までと考えると、短くとも3年半経過)の徴収額は166.3百万ポンド(1ポンド140円として約233億円)」で、徴収元となった開発が発生した近隣には15%まで使えると単純に考えると(詳しくは(その1)へ)、これら32自治体内の近隣には233×0.15=約35億円の事業費用が回る計算となり、「イギリスまち普請事業」として500万円ずつ使えるとすると700件の「まち普請」ができる計算。もちろん残りの85%分はそれぞれの自治体で優先度を定めた基盤的事業に使うので233×0.85=約198億円となり、1件当たり1億円の事業が198ヶ所できる計算です。なお、これだけの額の執行をするには事務経費もかかるのでそれは5%まで使ってよいと制度上されています。

(その4)を先日書いた際きちんと考えていなかったこと。その1つは、「ではどうやって集めた資金を当該自治体のために、さらにはたくさんある近隣のために使っているのか」という、ごくごく実際的な話です。
[資料1]が一般的な実務の話なのに対し、[資料2]にはこれまでパイオニア的にそうした方法を開発してきた主にロンドン各区の話。もっと具体的にいうと、ケンジントン&チェルシー区がCILの配分・活用方法を模索するなかで、先行している他区のさまざまな方法を分析し、「わが区でやるとするとどの方法が良いか」を試行錯誤している内容。それ自体がかなり興味深いです。

[資料1]
https://mycommunity.org.uk/resources/community-infrastructure-levy-neighbourhood-planning-toolkit/
[資料2]
https://www.local.gov.uk/pas/pas-topics/neighbourhood-plans/dclg-neighbourhood-planning-case-studies/creative-use-1
なかでも1つ目の以下の資料。
https://www.local.gov.uk/sites/default/files/documents/unlocking-potential-commu-f1d.pdf

[参考]
Localism and Planning (イギリス最新都市計画統合ファイル)
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20131223/1387799666