策定した近隣計画を維持するためのフォーラムの重大な役割 (近隣計画をめぐる新トピック(6))

近隣フォーラムは指定されてから5年間で指定が失効するとなっていることから、これまで、「その後はどうなるのか?」ということばかり気になっていました。しかし実際には、近隣計画は常に最新の状態にしておかなければならないので、近隣計画そのものをどのように見直しするかが大きな課題となり、「Neighbourhood Planning Act 2017」により、微細な変更は地方計画庁がおこなえること(ただし策定主体の同意が必要)、少し大きいけれども計画の主旨を大きくは変えないようなものは近隣計画策定主体が地方計画庁に修正案を提案できそれを審査官が審査。レファレンダムが必要と判断されなければ計画を修正できるなどの規定ができました。それ以上の変更を要するものは策定時の手続きが必要となります。また、これに先立つ「Housing and Planning Act 2016」の第142条により、近隣計画がらみの開発について通知するよう近隣フォーラムが求めた場合は、地方計画庁はその都度通知することが必要という形で、フォーラムの役割が強化されていました。

実際上どうなっているか。フォーラム指定第1号だったエクセター市のSt James近隣フォーラム(⇒関連記事)が最も早くこれらの状況に達していると考え、フォローしてみると、、、
このフォーラムが近隣計画策定後も熱心に活動していたことは既に紹介していますが、2016年7月2日の年次総会にて、今後このフォーラムをどうすべきかの投票がなされました(2012年6月29日が近隣フォーラム指定日)。選択肢は(a)存続、(b)別組織に移管、(c)廃止です。結果は全員(a)を選択。フォーラムとして存続することになりました。(制度上の指定フォーラムは計算上、2017年6月29日に失効となったかもしれませんが、存続すると決議した実態上のフォーラムがどういうことになっているのか未解明)
このフォーラムはたいへん熱心で、近隣計画策定後も計画本体に書ききれなかった「プロジェクト」も含めてその実現に取り組んでいます。また、2016年法142条の規定により開発に関する情報を積極的に得て、計画で描いた方向に開発誘導できないものかと取り組んでいます。いずれ近いうちに、2017年法の規定を使って近隣計画の改定に取り組んだり、それが大幅な修正を要する場合は本格的な見直し手続きに入るかもしれません。

近隣計画の運用がはじまって5年。第2ラウンドともいうべき新たな次元に入りつつあります。

[関連記事]
・近隣計画の運用(その3) 近隣フォーラムによる場合
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20150118/1421577689