雪山の大景観と地域イメージ

昨年1月早朝、横浜の研究室から南アルプスらしき雪山(甲斐駒ケ岳など)が見えていることを発見しました。一般にこの時期の景観はうっすらと冠雪した丹沢山系の左手にひときわ高い白妙の富士というもので、皆が見ているこうした都市景観は、それぞれの地域、それぞれの季節によって大切にされてきたものと思われます。先日、はじめて藤沢市新市庁舎での会議があった際、そのフロアの廊下の正面に冬の午後の光を浴びた大きな富士が構えていて感動しました。最上階には議会関係施設とうまく住み分けながら配置された展望施設があり、湘南の海までかなり広角に「わが町」を展望できます。

この季節の地域の大景観。冠雪した山がくっきりと見えることで、いつもは気づかない新たな発見があります。少し前に書いた近江商人の湖東(⇒関連記事1)からはじめ関東方面に向います。
この季節、湖東から湖西方面をみると、まるでバンクーバーのようです(←イメージ。現在開催中の冬季五輪に影響されているかもしれない)。その山々はずっと奥の日本海方面まで連なっていて地域の広がりを感じます。雪に覆われた伊吹山が転換点となって関ヶ原を抜けると、前方に御嶽山が、その少し左手に北アルプスの(と思われる)峰々が見えてきます。御嶽山は角度をかえつつ、手前の状態(山の高さや眼前の土地利用等)によってさまざまな見え方をして、岡崎を少しすぎたあたりで山かげに隠れます。ここから愛知/静岡界を越えて富士山(および南アルプス)の冠雪が見えてくるようになるまで「遠景が見えない区間」なのですが、1ヶ所だけ、豊橋の少し手前あたりでアルプスの(と思われる)峰々が見える区間があります。今まで気づきませんでした。また、静岡県に入ってほぼすぐのあたりから富士山が見えていることに気づいたのもつい最近のことです。富士山は単独でも景観としてすばらしいですが、「南アルプスと富士山」「富士山と愛鷹山」「富士山と丹沢」などのさまざまな組み合わせによって、地域ごとの景観を個性的なものにしているのでしょう。

本日は雨水。こうして地域ごとの景観をくっきりと浮かび上がらせた冠雪が解け始めて、次の季節にはどのような景観が心に残るようになるのでしょうか。

[関連記事]
1.『コミュニティー・キャピタル論』
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20180122/1516620969
2.三島富嶽三十六景
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20140428/1398651165
3.海の県道223号(静岡県)
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20140412/1397269299