BEYOND STUDENTIFICATION

何これ?
昨日届いたPlanning誌(2018.7.6号)をペラペラめくっていると、標記の大きなタイトルが。単に人目を引こうとするタイトルかもしれないと用心しつつ読んでみると、それなりにイギリスらしいおもしろい記事なので、エッセンスを書いてみます。
きっかけは、学生向け住宅も各自治体の策定する住宅供給ターゲットの中でカウントすることとする、という昨年11月の政府方針の変更(National Planning Policy Frameworkによる)。学生の嗜好や生活スタイルの変化により、これまで学内の寮などにとどまっていた学生たちが街に出て専用の住宅(purpose-built student bedrooms)を求めるようになった結果、たたでさえ不足している街場の住宅がもっと足りなくなるのではないか、もっと住宅を増やせと政府から強く言われているのに加えてそんな傾向が強まると地元自治体としてはプレッシャーが強まるばかりではないかといった、新たな都市計画課題のようです。タイトルには「BEYOND」が頭についているので、そうした問題をどのように解決すべきかに関する記事だと推察されます。
詳しくは記事を読んでいただくとして、おもしろいのは、そうした街場の学生向け住宅率(おそらく大きな住宅を転用するタイプのものは除く新設の学生専用住宅率)が高い順に都市が並んだ表があり、第1位ヨーク60%弱、第2位オックスフォード、第3位ケンブリッジ50数パーセント、などとなっています。これら上位3傑について上のハコで(p17)地元都市計画の対応が書かれています。ヨーク。新たな住宅はそのニーズがあることを証明しなければならず学生にとって魅力的でなければならない(許可条件)。オックスフォード。街場の学生向け新設住宅は3000戸を超えてはならずそれ以上は許可しない。また開発する場合も主要街路沿いか中心市街地がそうした住宅向きであり、公共貢献を考慮して立地を誘導する。ケンブリッジ。市内の4戸に1戸は市内の2つの大学がらみであることから、学生人口は市の経済と活力に貢献していると認識している。しかしながら他の住宅需要にも応えなければならず、以下の点を考慮する。すなわち学生用住宅開発はより多くのより高度の教育機関とリンクしていることが必要で、公共交通ともそれら機関ともしっかり結ばれる立地であることが期待される。
予測によれば、2020年から2030年の間の18才から21才人口増は17万人以上と見込まれているとのこと。この数字自体も(右肩下がりの日本と比べると)興味深いです。