地域版ニュータウン開発のための規則とガイダンスが発効

近年イギリスでは旺盛な住宅需要に宅地供給が追いつかず、国では地方自治体に対して多くの宅地を計画的に割り当てるようにとの強い指導をしたりその方向に誘導できる法制の整備等を行っています。
地域版ニュータウン開発(‘locally-led’New Town Development)もその1つで、あまり評判が良くない(今や過去のものと思われている)「ニュータウン開発」を新たな方法で事業化しやすくしようと、2017年に法改正があり、このたび(2018年6月から7月にかけて)規則(⇒関連資料1)とガイダンス(⇒関連資料2)が発効しました。

「新たな方法で事業化しやすくする」ためにはいくつかのポイントがあります。
第一。‘locally-led’との表現にあらわれているように、従来のニュータウンが(とはいえこのところかなりの間適用事例が無い)国主導で地元から計画権限や開発許可権限をとりあげるイメージが強かったのに対して、地方自治体主導のニュータウンとしました。具体的には2017年近隣計画法の第16条により、1981年ニュータウン法第1条のあとに第1A条を新設して、‘locally-led’のニュータウンを可能としました(実際には大臣が地方自治体(複数も可)を指名してニュータウン開発の監督をさせるという形をとっている)。
第二。過去の反省を活かすために、7月に出された規則によって、その「監督」の中身が示され、高い質の居住地であって持続可能なコミュニティとなるよう計画すること、良質なデザインになるように支援すること、計画当初より、1)長期にわたる資産の管理を計画すること、2)コミュニティの参加をはかること、3)ニュータウン開発公社解散後のレガシー対応をはかること、と、これまでのニュータウンが問題としてきた諸点の改良を図ろうとしています。
第三。実際の事業を進める開発公社(‘locally-led’New Town Development Corporation。頭文字をとってLLNTDC)の設立手順や、そのニュータウン開発を監督する地方自治体の業務内容が時系列に整理されたものがガイダンスです。

さて、運用がスタートし、どのようなニュータウンが誕生するのでしょうか。

[関連資料]
1.規則
https://www.legislation.gov.uk/ukdsi/2018/9780111169995
2.ガイダンス
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/721078/New_Towns_Guidance.pdf#search=%27new+town+act+1981+oversee+guidance%27