Local PlanとNeighbourhood Plan (都市マスと近隣計画)

近隣計画をいかに策定するかが中心テーマだったローカリズム法施行後の5年間のあと、都市計画システム全体のなかでの近隣計画のあり方を考える段階にさしかかってきました。
Town & Country Planning 2018年9月号(p344-349)に、地方自治体の都市計画部局が近隣計画をどう扱っているかの興味深いレポートが出ています。
調査の詳細は書かれていないのですが、この調査はイングランド南東部の自治体へのサンプリング調査です。
そもそも地方自治体の都市計画部局としては、自ら「Local Plan」を策定・更新するのが本業であるなかに、新法によって「Neighbourhood Plan」が位置づけられたために、さみだれ式にあがってくる近隣計画策定を支援しつつ、それらとも整合をとりながらLocal Planを維持・更新しなければなりません。これを業務量増大ととらえ非積極的にとらえるか、これまでできなかった地域のきめ細かな計画ができるばかりか各地でエリアマネジメントが盛んになるのでパートナーが増えてよかったとみるか、こうした近隣ベースのまちづくりは別の方法で取り組んできたのに近隣計画ができてしまったので困った事態だととらえるのか。新法では「どうとらえよ」とまでは規定していないため、計画当局のとらえ方はさまざまである、というのが本論説の内容です。
今、3つのとらえ方を説明しましたが、本論説ではそれらを「reactive(受け身型)」「integrative(統合型)」「deflective(いなし型)」の3つに分類。(論説での順番は「deflective」「reactive」「integrative」)
解説されている内容と多少ニュアンスが異なりますが、日本の文脈に即して説明すると以上のような感じです。実際には住宅の割り付け(自治体で受け持つべき戸数、それらを実際に建てるべき敷地の特定など)をめぐるきわめてテクニカルかつ政治的な内容などもあるので、ここでは省略します。

これからしばらく、この種の議論がなされ、さらに実践が深まると思われます。