『ローマは一日にして成らず』

どの都市にも「最初」があるはず。では、ローマの最初はどうだったか。なぜ「そこ」にローマができたのか。なぜローマは「成った」のか。どのように成ったのか?

本書は、大作『ローマ人の物語』全15巻のうち第1巻にあたる部分で、文庫本では43冊の1,2冊目。以後、全43巻の1,2巻目と呼ぶことにします。

 

「工学部の都市工学科に学ぶ人ならば、何よりもまず先に、哲学や歴史などの人間学を学んでほしいものである。どこに都市を建設するかで、住民の将来を決めるかもしれないのだから。」(1巻p39-40。筆者は哲学科卒の塩野七生。)と物語は始まり、紀元前8世紀の中頃から同3世紀の中頃までの500年ほどが語られます。ここまででようやくイタリア本土の範囲を制覇した段階。

ヨーロッパじゅうを帝国化したローマからみればまだ初期段階ともいえる500年を知るだけでも、イノベイティブな話がぎっしりです。特におもしろかったのは、ローマ人たちが先進都市アテネに1年の視察に行く場面。あまりに先進的な民主制はシステムとしては長続きしないだろうとローマ人は取り入れなかっのだろうと解釈。そうしているうちに7つの丘から始まったローマに手が加えられ(都市計画され)、人口も増えていきます。けれども他民族に攻め込まれて占領されてしまうことも。これはいかんと城壁の強化にも力が入ります、、、

 

まさに「ローマは一日にして成らず」。あの、「すべての道はローマに通ず」となるまでには、まだまだ道のりは長そうです!



本記事を「世界の都市と都市計画」(古代都市と都市文明の形成) に入れました。

https://tkmzoo.hatenadiary.org/entry/20170309/1489041168