3つの近隣計画で同時に全市をカバーしたTORBAY(近隣計画をめぐる新トピック(8))

本日昼に手にした雑誌『Planning』2019.5.24号をペラペラめくっていると、最終ページ(p32)に「Torbay adopts total plan coverage」の文字が。「Torbayってどこ?」と読み進めると、「Torquay」を含む3つの近隣計画が同時に、この5月2日にレファレンダムを通過し、Torbay市全体をカバーしたことがわかりました。「Torquay」といえば、アガサ・クリスティーの故郷、トーキー。というだけで私にとってはあこがれの地(←まだ行っていない)。しかしそちらの方に脱線せずに都市計画の立場でこのことの「都市イノベーション」的意味をまとめると以下のようになります。実際には「意味」まではありそうですが、本当に「意義」があるかどうかは、きちんと読み込まないと現時点ではなんともいえませんが。(ではありますが、「都市イノベーションworld」にも追加します。)

 

「都市計画マスタープラン」が全市域を対象とするその都市の全体計画なのに対して、「近隣計画」は、都市の部分(近隣)についてつくられた計画です。2011年のローカリズム法で近隣計画が新しい都市計画となり、ここ7~8年でイギリス都市計画の熱い実践活動が各地で展開されているものです。「そんなのつくってどうするの」との懐疑派もいなくもないのですが、近隣計画を策定し運営するということそのものは民主主義の実践でもあることから概ね好意的に受け止められている、というのが総論です。けれども、「どうせ策定できる近隣なんて金持ちのところばかりでしょ」などという批判もあり、まだまだ改善の余地が多い、としたほうが客観的な状況描写。

さて、そのような中で、「都市計画マスタープラン」(実際には「ローカル・プラン」と呼ばれる)と近隣計画との関係はどのようになるのか、していくべきなのかについて専門家の間でもいろいろな議論のあるところ。ところが今回のTorbay市の3つの近隣計画は、その「ローカル・プラン」と並行して計画策定作業が進み(「ローカル・プラン」は先に採択されている)、3つ同時にレファレンダムを通過し、その後Torbay市によって正式なプランとなった、それが先週の6月19日のことである、というものです。本当にこれが「近隣」計画なのかどうか、その策定プロセスも含めて精査する必要はありそうですが、全市を近隣計画でカバーした、という意味ではこれが第一号。これからじっくり分析したいと思います。

 

4月に公開された『ねじれた家』も見てみないと、、、