NHKスペシャル「豪雨災害からどう命を守るのか、最前線からの報告」(6月30日夜)

昨年12月、JR伯備線に乗って倉敷駅を出たあと、しばらくの間、まだ災害の爪痕の残るまちの様子が間近に見えました(被災後5.5か月)。伊勢湾台風の前年に生まれた私は、よく親からそのときの大変さを聞かされたものです(私には記憶がないのですが、、)。

当番組で印象に残った2つのことを、忘れないように書き留めます。

 

1つ。今回も災害弱者の被害が大きかったこと。大きな河川の支流のまたその支流の深夜の決壊で数メートルの水位となり、1階にいた高齢女性が亡くなったケース。「大きな河川」の流量が増して「支流」の水が出られなくなり「またその支流」も玉突きで滞り決壊。水位計はそのような支流には設置されておらず深夜だったこともあり逃げられなかったのだと。当時を再現した実験もリアルで説得力がありました。

2つ。なぜ避難しなかったのか。避難指示が出ても、多くの人は避難するまでに至らない。こうした行政情報も重要な要素なのですが、実際に避難した人を調べてみるとこれだけで避難した人はごく少数。たいていは「たぶん大丈夫でしょう」との反応。あと2つの要素がある(3つすべてでなく3つのうちどれか1つあるいは2つ,3つ)というのが調査結果で、片方は(番組では「避難スイッチ」と呼んでいた)実際に異常現象などに遭遇したり自らの目で「危ない」ことを認識して避難へのスイッチが入ること、もう1つは近隣の方などから一緒に逃げましょうと誘われるなどの共助の取り組み。

 

これらだけで一般化はできません。けれどもちょうど先週もM市の立地適正化計画の居住誘導区域の話をしていて、1つめのような議論をまさに確認しようとしていたところ。2つめの議論は密集市街地等で「危ないと言われているのになぜ耐震改修や建替えが行われないのか」に近いもの。科学的にも、実践的にも、解決すべき課題はいくつもあります。