アメリカは一日にして成らず(アメリカの開拓・都市計画500年史)

1776年7日4日はアメリカ独立の日(⇒関連記事1)。それにちなんで、1492年にコロンブスがアメリカ大陸を「発見」してから21世紀に入るまでの500年を、「都市イノベーション・next」的にまとめます。

 

1492年から115年後の1607年に、北米植民地開拓のため、ロンドン・ヴァージニア会社によって3隻の船で105名の植民団が入植。そのジェームズタウンに最初の町を築こうとします。映画『ニューワールド』はその際の入植者と先住民との交流や確執を描いた音楽の美しい映画で、当時の入植の模様が描かれます。けれども「どこに都市を建設するかで、住民の将来を決めるかもしれないのだから」と、 『ローマは一日にして成らず』で指摘されたように、この場所は定住地には不向きで1699年に近くのウイリアムズバーグに拠点を移動。この間、ヨーロッパではホッブズが国家建設理論の基礎を築き、1776年の独立を思想面で支えます(⇒関連記事1)。1607年から数えると独立までに169年。

このあとのアメリカ開拓史は『勇気ある決断』(⇒関連記事2)で。アメリカをつくった「十大事業」(エリー運河、大陸横断鉄道、ホームステッド法など)が語られます。その際、具体的にどうやって「街」を築いたか(都市計画したか)については『タウンシップ』(ナカニシヤ出版、2015)がいいです(まだ本Blogで取り上げていません)。

ここまでが、どちらかというと「どうやってアメリカは開拓されたか」。指標として大陸横断鉄道がつながった1869年を区切りにしておきます(『勇気ある決断』のp81-82にはそのときのシーンがリアルに描かれている)。1776年の独立から全国土がつながる1869年まで93年。

この頃、ヨーロッパで起こった産業革命がアメリカにも波及して都市が急成長。とりわけ19世紀も後半になると新しい都市計画が必要になってきます。『New Urbanism & American Planning』(Emily Talen著、Routledge、2005刊。関連記事3)はそのあたりから始めて、20世紀末の「ニューアーバニズム運動」に至るアメリカ都市計画の歴史を理論的かつ緻密に描いています。そして現在2019年。1869年から2019年までが150年。

 

まとめると、発見(1492)→115年→入植(1607)→169年→独立(1776)→93年→大陸横断鉄道完成(1869)→150年→現在(2019)。

 

[関連記事]

  1. マグナカルタ(1215)とEU離脱(関連図書『思想のグローバル・ヒストリー』を文中で紹介している)
  2. 『勇気ある決断』
  3. 『New Urbanism & American Planning』