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横浜で都市計画学会全国大会開催(11月8,9,10日)

イノベイティブな政策の波及 (近隣計画をめぐる新トピック(9))

TPR(Town Planning Review)誌2018年1号に「Neighbourhood planning and the production of spatial knowledge」という論文が掲載されています(著者はQuintin Bradley)。その中で、本ブログの「近隣計画をめぐる新トピック(3)」で取り上げたリゾート地セントアイヴズの近隣計画でその正当性が認められた 「主たる居住を目的としない住宅開発の禁止」政策について、次のような表現がありました。

「Once established in planning policy, neighbourhoods up and down the coast from St Ives followed suit and implemented plans to encourage affordablehomes for primary residence」

 

そうか。たった1つの事例とはいえ、財産権を制限できる方法が裁判で認められると(デベロッパーがその政策は不当だとして訴えていたもの)、その波及効果は普遍的なものになるのだと。

普遍的といっても、そうした政策の必要性と正当性が説明されなくてはならないのですが。

そこで、「neighbourhoods up and down the coast from St Ives followed suit 」となっている部分を、とりあえずセントアイヴズから時計回りに4事例、反時計回りに4事例の採択された近隣計画(内陸部は避けて、海に面するところのみとりあげる)について、同様な政策が入っているかどうかをラフに調べてみました。超有名なセントアイヴズほどは「リゾートのみの利用住宅お断り」政策の必要性はそうは高くないのではとの仮説のもとに。

以下は結果です。

第一。「時計回り」の半島の北側の4事例中2事例が、「反時計回り」の半島の南側の4事例中2事例の、合わせて8事例中4事例が同様な政策を書き込んでいました。上記文献にも「すべての近隣が」とは書いてないので、「up and down the coast from St Ives followed suit 」のおよその雰囲気がつかめました。そもそも「海に面するところ」というアバウトな設定なので、厳密ではありませんが。

第二。今度は「Once established in planning policy」の部分から、セントアイヴズ近隣計画がレファレンダムを通過した2016年5月の「前」か「後」かで見てみます。同様な政策をもっていた4事例はすべて「後」でした。もっていなかった4事例中3事例も「後」だったので、「後」の7事例に限れば7分の4で同様な政策を入れたことになります。

第三。結局、セントアイヴズ近隣計画が「Once established in planning policy」したことはおおきな出来事だったといえそうです。しかし、残り1つの、「前」つまり2015年8月にレファレンダムを通過した近隣計画に、「類似」とまではいえないけれども主旨が近い政策がありました。名付けて「Local Connection」政策。「HO5」という政策で、なんだかラグビーワールドカップの出場資格に似て、「この土地に5年以上住んだり働いたりしていたこと」などの4つの条件などにより「Local Connection」の有無を判断しているようです。もしかするとこうしたこれまでの工夫の積み重ねの上にセントアイヴズ方式ができたのかもしれません。

 

[付記] コーンウォール県における近隣計画策定の取り組み状況図を見ると、かなりの勢いで近隣計画策定が進んでいることがわかります。セントアイヴズは158番。

https://www.cornwall.gov.uk/media/40170380/neighbourhood-planning-activity-map-a3-august.jpg

 

[参考]
Localism and Planning (イギリス最新都市計画統合ファイル)