「普及」の観点からみた「横浜地域まちづくり」と「イギリス近隣計画」

先日の記事で、イギリス近隣計画のレファレンダム通過件数が839件と紹介しました。ロンドンに限ると先日紹介したサウスバンクとメイフェアが加わり15件。制度化されてから約8年とすると、イングランド全体で年間100件強、ロンドンで年間2件が平均です。百万人当たり年平均件数で比較すると、イングランドは2件/年・百万人、ロンドンは0.2件/年・百万人と1ケタの差があります。これは、地方部ではもともと「パリッシュ」という地域民主主義の基本組織がありそこが近隣計画主体になれるのに対して、ロンドンなどでは計画策定のための「フォーラム」をつくらないといけない点、大都市部では都市計画課題が複雑で計画策定に手間がかかる点などの違いと考えられます。

 

一方、類似の制度ととらえている横浜市地域まちづくり推進条例ではこれまでに38組織が認定され、21のルールと20のプランが認定されているので、(重複は考えず)21+20で約40件の(プランかルールが)認定されたとの数字です。15年間の運用があるので、割るとざっと2.5件/年。百万人当たり年平均件数でみると、横浜は0.6件/年・百万人。

 

超おおざっぱですが、横浜はイングランドの普及スピードの3分の1程度、ロンドンの3倍といったあたりです。

いずれの場合も計画策定は「できる」規定なので、何パーセントのエリアで策定しなければならない、といったものでもありません。参考のため、日本の地区計画策定面積を市街化区域面積で割ると(地区計画7375地区162000ha。市街化区域1457000ha。いずれも2017.3.31時点)11.1%。これが約40年間の成果です。「きめ細かなまちづくり」が必要な場所というのは、そう多くはないのかもしれません。