超音速旅客機(SST)で地球が縮まる

ちょうど10日前のこと。ニューヨークからロンドンに向かった飛行機が、暴風に乗って予定時間より2時間も早い4時間43分で着いてしまったとのニュースが流れました。おお、これくらいならしゅっちゅう往復してもいいね、と思って冷静に考えると、逆向きのルートの予定時間は8時間なので、そのときに乗っていたら8時間ではすまなかったのだろうと。

 

などといつものように考えていると、今朝の日経新聞に「超音速の翼 再び開発ブーム」という大きな記事が出ていました。

技術というのはおもしろいもので、社会がそれを許容しないと活かされません。1969年が初飛行だったコンコルドは時速2200キロが出せたのにもかかわらず、ものすごい轟音と衝撃波で社会に受け入れられずお蔵入り。それから半世紀も経ちました。

時速2300キロが出るという意味では半世紀前と同レベルの「オーバーチュア」が、2020年代半ばには実用化予定というのがこの記事のメインの話題。ここから先が「都市イノベーション・next」的です。轟音や衝撃波はどのような技術によって克服できるのか。ある程度減らせたときに、社会の側はどのように受容できるのか。どのような条件でそれは可能なのか。それに伴う犠牲はいかほどか。その犠牲を克服するにはどうしたらよいか。

 

5つ前の「都心探訪9」の記事。私の家の斜め上空すぐのところに飛ぶ(ようになる)飛行機はゴーゴー大きな音をたてています。いなくなったかと思うと、すぐ次の便がやってきてゴーゴー音を立てます。本当に次々とやってくる(その様子が都心探訪9の写真)。例えば、こういう騒音に伴う直接的迷惑や不動産価値の下落の総量と、日本にやってくるお客がもたらす効果の総量を比較したとき、いかほどの効果や弊害があるかは定量化しなければなりません。いずれもっとスマートな形での運行に移行しないと、損失の方もかなりの大ではないかと直観します。

 

現在のジャンボ機の最高時速が約1000キロなので、離着陸のことも考えると「オーバーチュア」により世界の距離が約半分になる計算。羽田-ロンドンなら56時間程度に。これくらいであれば、気軽にロンドンに行けそうです。ただし、コンコルドのときよりコストは4分の1程度に抑えられそうですがまだまだ一般旅客向きのレベルではない。就航距離も8300キロとなっているので、ロンドンまでは一気にいけない。

1000キロあげるだけでこれだけの技術的・社会的課題が山積するこのテーマ。以前の記事で、日帰りで地球を一周する計画(リオとパリで会議に出て戻ってくる)を立てました(平均時速は4095キロ)[⇒関連記事]。どれだけ多くの都市イノベーション課題が待ち構えているとしても、一歩一歩実現に向かうことそのものに魅力を感じます。

 

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