「SDGs時代の都市計画を考える~グローバルな視点から」:Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable

地震に洪水、津波にウイルスと、都市は次々に災害に見舞われています。都市計画の要となる都市計画法は日本では1968年に制定されたまま接ぎ木に接ぎ木を重ね、そこにおさまらないものは別の法律をつくって「都市計画関連法」が次々と増え、現在、国会に提出されている都市再生特別措置法改正案もその1つとなっています。

 

昨年9月9日朝。新たな図書企画『SDGsを実現するまちづくり』の自分の担当部分についての打ち合わせ場所は、ちょうど千葉付近に上陸した台風15号のため店員が到達できず閉店状態。電車も止まってしまい打ち合わせ相手ともしばらく連絡がとれず、茫然。

そんな中でスタートした『SDGsを実現するまちづくり』が4月11日に発刊の運びとなりました。プログレス刊(⇒関連資料)。その中で、SDGsと都市計画を結びつける「SDGs時代の都市計画を考える~グローバルな視点から」という少し長目の論考を書きました。その趣旨あるいはそこで考えようとしたことについて少し綴ります。

 

冒頭に書いたような状況にある日本の都市計画の将来を考える際、「日本の」をはずして「都市計画の将来を考える」としたらどうなるだろうか。今日、世界はグローバル化しており、今まさに都市が襲われているコロナウイルスも極めて速く(人間にくっついて)世界を移動。経済もライフスタイルもそうです。

「SDGs」はそうしたグローバルな課題を考えるための手がかりになる。なかでも本記事のタイトルの後半にある「Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable」(17のゴールのうち11番目の柱)そのものがこれからの都市計画の目指す方向ではないか。たとえば3つ目の「resilient」は、本ブログの3つ前の記事でとりあげたばかりで、これがしっかりしていないと、どの都市も(想定外の)大きな変化に対応できない。「sustainable」だけではとても足りない。昨日の記事「Single-Family Zoningを廃止すべきである」というアメリカでの議論は、それが格差拡大の原因をつくっているという、都市計画が「inclusive」に反していることへの自省にもとづくもので、さらにこの都市計画によって都市が果てしなく郊外に広がり「sustainable」でもないという近代都市計画への猛省のあらわれといえる。

 

そんなわけで、「SDGs」と「都市計画」をつなげ、「SDGs時代の都市計画を考える~グローバルな視点から」について書いたのが本稿です。具体的には、「グローバルな」ということで、アフリカとイギリスと日本の都市計画を「SDGs」という同一のゴール(目標)のもとに並べ、先進国-途上国のようなステレオタイプのものの見方に陥ることなく、同時代的な課題を解決しようとする「都市計画」の現状や課題や解決への糸口について整理しようとチャレンジしたものです。

 

[関連資料] (⇒Progress社のHPへ)

『持続可能な地域創生 SDGsを実現するまちづくり』