ジュンディー・シャープール(グンデシャプール)

かなりややこしいですが、「都市イノベーションの世界史」としては重要そうなので書きとめます。

近代科学のもととなったルネサンスの源流である『十二世紀ルネサンス』の、さらにその前の前に科学の中心地だったとされる、ジュンディー・シャープール(現在のイラン。廃墟)。この都市を『ローマ人の物語』文庫本第33巻ではグンデシャプールと呼び、実はこの都市は、ローマ皇帝ヴァレリアヌスがペルシャ王シャプールに生きたままつかまり、連行されたローマ人により建設されたものであると記されていました。

ちょうど先月8月20日に『ペルシア帝国』(講談社現代新書2502)が出ていて、当時のササン朝ペルシャはこのあたりに多くの都市を建設していたことがわかります。さらにジュンディー・シャープールには、ビザンツ帝国を追われた学者たちが吸い寄せられ、おそらく当時の(中国を除く)世界の学問の中心地だったものと想像されます。

新書『ペルシア帝国』は、イスラム化する前に強大な帝国を形成したアケメネス朝ペルシャとササン朝ペルシャに焦点を当てた解像度の高い図書(名詞の表記が普通と違うので自分で変換表をつくらないと理解できない)。

ローマ帝国だけ読んでいるとローマ人以外は“蛮族”になってしまいがちですが、ペルシャ帝国側からみれば相手は敵。さまざまな帝国が盛衰しながら、その間で揉まれながら「科学」が育っていくさまは、なにか深遠なる人類の歴史(都市が担った歴史)を見ているようで、興味は尽きません。


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【in evolution】世界の都市と都市計画
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