大胆な都市計画制度改革を提起した白書「Planning for the Future(2020.8)」その後

裁量による判断が伝統のイギリス都市計画。これでは時間ばかりかかり民主的でもないと、昨年8月に白書「Planning for the Future(2020.8)」が提起されました。ごく大まかにいえば、事前に基準などを決めておきそれに合っていれば開発を認める領域を、近年のデジタル技術なども総動員してひろげましょうという提案で、都市計画法も大幅に書き換えようとするものです。

その提案から半年少々経った2021年3月10日に、その後の経過を体系的にまとめた「BRIEFING PAPER(No.8981)」がイギリス下院図書館から発行されました。

https://commonslibrary.parliament.uk/research-briefings/cbp-8981/

 

これもまたごく大まかにいうと、ハウスビルダーからは歓迎の声が、都市計画の専門家集団や自治体などからは厳しい批判が寄せられ、それらが逐一、文書とともに紹介・整理されています。

本ブログの過去の「イギリス都市計画定点観測」には都市計画制度を改革しようとする政府のさまざまな動きが断片的に紹介されていますが、今回の白書「Planning for the Future」の意気込みは、都市計画制度を根本から変えると宣言(主張?)するものです。

白書では提案に対する反応を得るために26の質問が用意されているので、定性的に「その後」の動向をまとめた今回の「BRIEFING PAPER」とは別に、いずれ、体系的に26の質問への反応をまとめた報告書のようなものが政府から発表されるものと思われます。

これまでも都市計画制度改革をめぐっては、政府の強いメツセージ⇒賛否両論⇒トーンダウンした法改正(あるいは法改正はしたが効果はあまりナシ)、といったサイクルが何度も繰り返されてきました。今回もそのような流れをもう1つつくるのか、大きな改革へと突破するのか???

しばらくこの動向をウォッチしていきます。