『Routledge Handbook of Urban Planning in Africa』

『Urban Planning in Sub-Saharan Africa』(2015)がサハラ以南のアフリカ諸国の近代都市計画史を体系的に描いていたとすると、同じ編者による、少し突っ込んで新しい芽をみようとしたアフリカ都市計画の最新動向です(ペーパーバック版は2021年発刊)。どう突っ込んだかについて編者の言葉をそのまま引用すると、

「in particular at the nature and capacity of local self-government and the role of urban governance in Africa, expanding the evidence and insights provided in recent research on urban planning in Africa」

この言葉の言外には、いわゆる「国」「体制」に頼ろうとしてもこれまでうまくいかなかった。むしろ、ローカルな場に存在している自律的な力に着目したい。そこにどのような「力」が見いだせるのか。また、たとえその「力」は今のところしっかりしたものとなっていないかもしれないけれども、アフリカの都市計画の今後はそこにかかっている。との編者の強い思いがあるように思います。

22章(第1章=序章、第一部の歴史編が第2~8章、第二部の現代編が第9~22章)にわたる各編で取り上げる地域は多様で切り口も幅広く、常に序章(第1章)に示されている編者の思いを確認する必要がありますが、いくつかの章はそのように確認しなくても、それ自体がグローバルな都市計画の理論・実践として新鮮な動向となっていて引き込まれます。

「the nature and capacity of local self-government and the role of urban governance」は多様で、「the evidence and insights」についても、これまで通りの“アフリカ都市計画”的ではないテーマ設定があえてなされている面があり、時々戸惑うこともあります。そんな時は本書のタイトルが「Handbook」であることを思い出して、「おもしろかった章がいくつかあればいいか」と考えるのがよいと思います。個人的には第6章、13章、15章、17章、18章でした。

どれもそれぞれおもしろいのですが、「アフリカの新しい都市化の兆候」について書かれた第15章は少し驚きです。よく出てくる大都市ではなく、地方の、国境近くの交易の結節点とか、企業立地(たとえばダイヤモンド採掘)により急速にのし上がってきた都市のいくつかが書かれています。

例として、モザンビークの北西にある「Tete」。Googleが2021年4月に公開した最新の「Timelapse」機能(地球の表面の写真1984-2020(37年分)が公開され連続的・自動的に見ることができる。途中で止めたり、見たい年を選んだり、速さを調整することもできる)を使った場合、最も都市・地域の変化がわかりやすい例です!

 

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【in evolution】世界の都市と都市計画
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