「Levelling-up and Regeneration Bill」が国会に上程されました

聞き慣れない用語ですが、ボリス・ジョンソン首相が2019年の選挙戦で保守党の公約として掲げた「levelling up policy」を実現するべく、その基礎となる法案の審議が2022年5月11日にはじまりました。ここでは「levelling up policy」を「レベルアップ政策」、「Levelling-up and Regeneration Bill」を「レベルアップおよび再生法案」と呼ぶことにします。あえて一言で表現すると、(ネオリベラリズムの結果)ロンドンだけが繫栄し地方が疲弊してしまった状態を反省して特に地方をレベルアップさせ国土を再生させるための基礎となる法案となっていて、政策としては2030年を目標にしています。

リーマンショック後の2011年に、「Big Society」をめざした「Localism Bill」が上程されたのを契機に本ブログの「イギリス都市計画定点観測」ははじまっていますが(⇒2011.8.11記事)、今回の「レベルアップおよび再生法案」は、11年を経て蓄積されたさまざまな課題に対処しようとする節目となる法案ととらえます。(時間が経ってみないといかほどの「重み」のものかわからないので、まずは直観的に。)

 

本日の記事ではこの法案の構成の大枠だけ注目し、審議過程が見えるように国会審議へのアクセス先がわかるようにしてみます。

構成。11のパートから成る196条の条文と、17の付則(Schedule)で構成される338頁の、少々重ための法案です。「特に地方をレベルアップさせ国土を再生させる」主要目的に対応して、パート2(Local Democracy and Devolution)は68条と、条文全体の3分の1を占めます。パート3のPlanningが38条と次いで多く、都市計画法そのものの内容もレベルアップしようとしていることが読み取れます。

実は、この法案が出る前の2022年2月2日に「Levelling Up the United Kingdom」というとても意欲的というか大風呂敷風にも見える「白書(White Paper)」(⇒関連資料)が出ており、本法案の特にパート2がそれを受けて法制化したものといえそうです。パート3はどちらかというと2020年8月に出された白書「Planning for the Future」(⇒2021.4.7記事)との関連が強いものと思われます。

 

国会審議の経過は以下のURLから。
https://bills.parliament.uk/bills/3155

法案そのものの政府による解説は以下のURLで。https://www.gov.uk/government/news/new-bill-to-level-up-the-nation

 

[関連資料] 白書「Levelling Up the United Kingdom」https://www.gov.uk/government/publications/levelling-up-the-united-kingdom

 

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