伊勢湾台風から63年

63年前の昨日(1969.9.26)、伊勢湾台風が和歌山県潮岬付近に上陸しました。この伊勢湾台風は現時点においても「明治以降の日本における台風の災害史上最悪の惨事」とされます。

このたびの台風14号、15号もちょうどこのシーズンにやってきて、「予想や警報」と「実際起こったこと」との間にかなりのギャップがあったことに戸惑いを感じています。

朝9時に台風になったばかりの15号がその日のうちにもたらしたさまざまな現象・結果は、9月14日の記事『関東大震災鉄道復旧工事写真帳』で「「現代技術で相当丈夫になったんだから大丈夫だよ」と言い聞かせる自分と、「いやいや、被災するのはいつも弱いところだから、想像以上の、いや、想定外のさまざまな被害や不具合が必ず発生するぞ」と戒める自分が拮抗します。」の現実版といえなくもないので、少し書き留めておきます。

 

第一。「朝9時に台風になったばかりの15号がその日のうちにもたらした」というのは感覚的にはこれまでにないもので、台風14号とは真逆の感じがします。

第二。「東海道新幹線が止まると国土の枢要部の機能がかなり低下する」という脆弱性を感じました。今回は24時間以内に鉄道の運行そのものはほぼ復旧しているのであくまで「感じた」レベルですが(←自分も関西で足止め)、近年の他の新幹線被害例からみても、(特に大震災により)最低1か月くらいは使えなくなることもあるかもしれない。そうすると代替ルートがどう確保できるかが重要になる(⇒関連記事1)。「ネットワーク(網の目のつながり)」の(量と)質の高さが決め手になりそうな気がします。

第三。(これは最近の他の災害でも経験していることですが)「右肩下がり」の時代にインフラが損壊すると、復旧を断念せざるを得ないケースが多くなっている。2015年冬の暴風雨が引き金となって廃線(実際には廃線の前倒し)となった日高線の一部区間もそうであるように、「被災するのはいつも弱いところだから、想像以上の、いや、想定外のさまざまな被害や不具合」が発生する。

第四。それでも、新型コロナの経験の中から「新しいインフラ」ともいえる通信環境が代替ルートとなって被害をカバーし復旧への力となりそうなことに希望を感じます。

 

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2. 『災害復興の日本史』

 

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