都市計画の理論 系譜と課題

学芸出版社2006.1.30刊。実はこの図書のきっかけは、阪神・淡路大震災でした。
その経緯はこの図書の「おわりに」にあるように、「阪神・淡路大震災のあと、関東在住の研究者は被災地からも遠く、何かに役立ちたいと思ってもなかなかそのきっかけがつかめないでいた。そんな中……」のようなつながりです。「おわりに」に書いていないことをここで付け加えると、当時、復興の現場から提起されていることを少しでも理論化(theorizing)し、「次」につなげていこうという思いがありました。特に当時は合意形成方法をめぐって試行錯誤されていたこともあり、『計画主体理論』のところは力を入れて議論したことを思い出します。
本日が震災から17年。震災から出版まで11年かかりました。3年半後の1998年秋に研究会の企画、そのあと3年間が研究会、2000年頃より研究ワークショップを開催。そのあと是非出版をめざそうということになり10人を超えるメンバーで執筆に着手。そこから数えると3年半ほどでようやく出版に至りました。実は最後に原稿が集まらず断念しかけていた頃、T大のA先生から「最後までやりましょう」と励まされ、なんとか完成できたのが本書です。

阪神・淡路大震災の復興はといえば、復興区画整理事業が昨年の3月28日に完了したばかりです。既にこの時、東日本大震災が発生していました。
東日本大震災後の現地では現在、たいへんな困難が続いています。
現時点で出版企画があるわけでもなく、それどころか、被災地から遠い自分に何ができるのかと問い続ける毎日です。今年に入って毎日のように地震を感じ(ているように思え)ます。新たな大災害等も視野に入れながら自分にできること、すべきことを模索しています。