都市イノベーション読本
学芸出版社、1998年刊。 「右肩下がり」「人口減少」などがキーワードとして語られる日本の昨今の状況ですが、百年も前にその段階にさしかかっていた「先進国」イギリスが、なぜ今でも元気なのか? イノベーティブなのか? などという素朴な疑問から、『成熟社…
第49話も都市イノベーションプロジェクトです。 この週末の金沢はちょうど桜も満開で、晴天。兼六園も無料開放され、多くの市民・観光客でごったがえしていました。そんな中、金沢21世紀美術館はさほどごったがえすこともなく、のんびりしたホッとできる空間…
交通新聞社新書037。2011.12.15刊。 この週末、富山でライトレール、私鉄、市電、自転車、JRを体験してきました。こういう新書があるのも今まで知らずにいたのですが、なかなかしっかりまとまった新書です。富山の「交通革命」をめぐる新鮮な情報がぎっしり…
A,B,C街区の事業につづき、あさって(4月19日)G街区の「丸亀町グリーン」がオープンします。イノベーティブな広場がこれから高松という都市に、日本の各地にどのような影響を及ぼすでしょうか。 『60プロジェクトによむ 日本の都市づくり』の最も新しい事例(N…
Spon Press 2000年刊。第46話です(50回までの予定)。 本日から大学院授業「市街地創造論」をはじめました。本日はイントロダクションのため、次回から内容に入ります。その次回のテーマとなるのが「近代都市計画の評価をめぐって」。 本書は、いわゆる近代都…
ローレンス・C・スミス(UCLA地理学教授)著、小林由香利訳。NHK出版、2012.3.25発行。 地球温暖化により北極周辺の氷が融けはじめ、北緯45度以北の「ニュー・ノース」で生活できる条件が向上しはじめている。ここには今まで手付かずの資源が眠っているし、水…
マンチェスターと同様、近年のリバプールの都市再生の全貌を明らかにした貴重な図書です。RIBA(王立英国建築家協会)がリバプール市と共同で2010年に発刊。この「SHAPING THE CITY」シリーズを調べてみると、2009年にLeedsが、2011年にNewcastleGateshedが発…
RIBA(王立英国建築家協会)がマンチェスター市と共同で2004年に発刊した、近年のマンチェスターの都市再生の全貌を明らかにした図書。A4版フルカラー268頁。けっこう重たいです。マンチェスターは英国の中で最も劇的に都市再生(transformation)を果たしたとさ…
クレイトン・クリステンセンら著、櫻井祐子訳、翔泳社、2012.1.17刊。 内容は原題の「The innovator’s DNA」に近い。どうやってイノベーターと呼ばれる起業家たちは革新的な着想を得ているのかを解明するべく、著名なイノベーターにインタビューするとともに…
ニューヨークタイムズ紙コラムニストのトーマス・フリードマン著(伏見威蕃訳)、日本経済新聞社、2006刊(UPDATED AND EXPANDED版)。 本書は、インターネット(汎用技術22番)が世界経済や都市システムに与える影響についてリアルにかつ体系的に綴った、今でも気…
少し戻って、技術のイノベーションが都市に与えた影響。The MIT Press, 2008年刊です。 この本は、ヨーロッパ都市の近代化にが与えた影響を論じた13編の論文より構成されています。 35話(13番の鉄道)の続きでみると、14番のIron Steamshipがライン川沿いの都…
原題は「The Politics of Happiness」。副題は「What Government Can Learn from the New Research on Well-Being」。デレック・ボック著、土屋直樹ら訳、東洋経済新報社、2011.10刊。日本語タイトルがかなり意訳されていますが、内容はというと、原題と日本…
三島邦弘著、河出書房新社、2011.10刊。 昨年暮れに自由が丘で出会ったこの本。「自由が丘」モノとしては、第25話に次ぐ作品です。 「計画と無計画のあいだ」などと書いてあると目は自然にその表紙に釘付け。パラパラとめくり、そのときはとりあえず買わずに…
黒野伸一著、小学館、2011.11刊。 話の舞台は合併で幕悦町に併合された止村(とどめむら)。若者が流出し廃村の危機が迫るその村に、この村出身で現在は六本木に居を構え企業再生金融業でめきめきと実績をあげる、とある青年(多岐川優)が戻ってくることからこ…
毎日新聞2012.2.13夕刊(3版)2面「特集ワイド」記事。ライター(と写真)は小国綾子。 第36話は、はじめての新聞記事です。この記事、感動しました。 新聞記事に「興味深かった」「たいへん勉強になった」「よくわかった」「心にしんみりきた」などと思うことは…
今回は、前回ご紹介した‘世界を変えた24の汎用技術’のうち13番の鉄道(Railway)が都市にもたらした影響を論じた「驚きの好著」。この「驚きの好著」という表現。日本語的には変な感じもしますが、正直に表現するとこういう感じの本です。 北河大次郎著、河出…
小栗照夫著、新葉館出版2006年刊。 ここ2、3年気になっていた、日本にイノベーションを巻き起こした豊田佐吉という人物。また、トヨタという大企業へとつながる進化過程。地元名古屋でこの本を見つけました。 大工の家の長男だった佐吉。「東京へ機械を見に…
Robert Freestone著、CSIRO Publishing 2010刊。 全豪オープンテニスも準々決勝戦。日本が真冬なのに、あちらは真夏。世界にいろいろな都市があるということは、こういうことも含むんだなあとつくづく思うこの季節です。第33話の今日は、これまでにありそう…
学芸出版社2006.1.30刊。実はこの図書のきっかけは、阪神・淡路大震災でした。 その経緯はこの図書の「おわりに」にあるように、「阪神・淡路大震災のあと、関東在住の研究者は被災地からも遠く、何かに役立ちたいと思ってもなかなかそのきっかけがつかめな…
「世界を変えたければ、まず自分がその変化になりなさい」とのマハトマ・ガンディーの言葉を実践する、イギリスブリストルの29歳の著者(マーク・ボイル)が綴った実話。 紀伊国屋書店から2011年11月26日に発売されました。この日(11月の第4土曜日)は「世界無…
Judith E. INNESら著、ROUTLEDGE、2010年刊。 著者が長年手がけてきた「collaborative planning」の現時点における進化地点を描いた注目の図書。新宿紀伊国屋書店では「都市計画」の棚ではなく、「政治」の棚に収まっていました。 ステークホルダーが対等の…
ジョン・マクミラン著(瀧澤弘和ら訳)、NTT出版2007刊。 「アールスメールというオランダの村にある世界最大の花市場を訪れると、サッカー場125個分もの広大な敷地を色とりどりの花々が覆っている様子をみることができる」「グローバルな花市場のプロセスは非…
副題に「Path Dependence and Creative Knowledge Strategies」とあるとおり、知識産業・創造産業が都市地域でいかに発展するかにつき、経路依存性(path dependency)の観点から比較考察した好著。ASHGATE、2011年刊。 アムステルダムを基点としつつ規模の類…
スコット・A・シェーン著、谷口功一ら訳、白水社、2011年刊。原題は「The Illusions of Entrepreneurship」。 著者はペンシルバニア大で博士号取得ののちMITなどを経て現在ケース・ウエスタン・リザーブ大学教授。ハイテク産業を中心にビジネスチャンスの発…
1994年、TOTO出版発行の解説入り写真集。 今朝の2年生の授業で日本の住宅の密度がテーマとなり、それを話しているうちに思い出した驚きの図書。その134〜135頁の見開きに大きく写っているある家族の家具類(および住人2名)と、その後ろに建っている日本の典…
生活史研究家の阿古真理著、NTT出版2011.10刊。 いつも何かの発見が楽しみな自由が丘。この秋、この図書が出版されました。 日本における洋菓子の歴史をベースに、自由が丘という街の形成史を重ねてみせた逸品。都市イノベーション的観点でみても多くの示唆…
先週土曜日に原宿をぶらぶらしていると眼前になにやら自分が吸い込まれそうになる建物。吸い込まれながらふと見ると「THE SHARE」の文字。まだ工事中で、玄関には「本日、内覧会。予約制」などという掲示。これはタダモノではないとの予感。予約はしていない…
日本都市計画学会編、朝倉書店刊。できたての図書です。 「もはや戦後ではない」と謳われた1956年頃から今日までの、日本の優れた都市計画プロジェクトをまとめたお薦めの本です。特に、各時代のプロジェクトの位置づけや今日までの流れをわかりやすく編集し…
この夏封切られたジブリ映画。設定は「オリンピックを翌年に控えた1963(昭和38)年の横浜」。意外にも秀作でした。横浜に住んでいる人、横浜が好きな人、横浜に住んでみたいと思っている人、海と会話ができたあの頃の風景が素敵だと感じる人、まだ素朴だった…
「都市イノベーション読本」も第21回。新しい都市のイノベーションにつながる「気になる図書」などを毎週火曜日に取り上げることにしています。今回はおととい夜のTV番組。南相馬でこの番組を見ました。内容もさることながら、番組としてもとてもよかったで…