豊田佐吉とトヨタ源流の男たち

小栗照夫著、新葉館出版2006年刊。
ここ2、3年気になっていた、日本にイノベーションを巻き起こした豊田佐吉という人物。また、トヨタという大企業へとつながる進化過程。地元名古屋でこの本を見つけました。
大工の家の長男だった佐吉。「東京へ機械を見に行きたい」あまりに家出してまで見に行った佐吉。やがて本を通してアークライトやハーグリーブスやワットに出会う佐吉(やがて勧業博覧会にて本物に出会う)、家族や地域の人々や理解者に支えられて発明に専念する佐吉、発明品を製造工程にのせ営業し次第に会社らしくなっていく過程。この先は車に形を変えてトヨタに自然につながってゆきます。ストーリーの中には著者の類推も含まれますが、丹念な取材をもとに地元(半田市)郷土史家によって書かれた興味深い内容でした。発明そのものもさることながら、それを製品化し販売するまでの技術・経営・営業・投資が一体として進化していくさまが特に印象に残りました。
ところで、世界を大きく変えた発明(汎用技術General Purpose Technology)はこれまで24あったとする研究成果があり(R.G.Lipseyら著,Economic Transformations : General Purpose Technologies and Long Term Economic Growth, Oxford University Press, 2005)、その11番目がSteam engine、12番目がFactory Systemとされています。ドイツのハートマン社製織機が1台872円だった当時、豊田式は93円(本書p78-79)。日本に普及した様子がわかります。
続きをみると、13番Railway、14番Iron steamship、15番Internal combustion engine、16番Electricity、17番Motor vehicle、18番Airplane、19番Mass production, continuous process, factory、20番Computer、21番Lean production(トヨタ生産システム)、22番Internet、23番Biotechnology、24番Nanotechnologyなのだそうです。22番までは都市や社会にイノベーションをもたらす原動力になってきたものばかりです。では、23番や24番は都市イノベーションにどのように作用するか、25番目の汎用技術とは何なのか?

■[2017.3.18追記]
汎用技術と都市イノベーションに関する講演資料ダウンロードできます。
http://d.hatena.ne.jp/tkmzoo/20130703/1372828030