近隣計画の取り組みが全域に広がりつつあるWestminster区(ロンドン)【2015.4.28一部更新】

これまで近隣計画の策定が完了しそうな先端事例ばかりに気を取られていましたが、先日、ふと「地方自治体に提出された近隣エリア申請数」というマップを見ていると、ロンドンのウエストミンスター区が10件以上になっていることが目にとまりました。ロンドン33区のうち21区は申請数ゼロなので、いかに近隣計画の普及に地域差があるかがわかります。
かなり気になり、市のHPを見てみると、ウエストミンスター区では大半の近隣が既に「近隣エリア申請」を行っており、近隣計画に向けた動きが急展開していることがわかりました。
□近隣エリア申請マップ
【2013.9時点=時点A】
http://transact.westminster.gov.uk/docstores/publications_store/Designated%20Areas%20and%20Current%20Applications%209%20Sept%202013_a4.jpg
【2015.4.24時点で掲載されているもの=時点B】
http://transact.westminster.gov.uk/docstores/publications_store/Designated%20Neighbourhood%20Areas%20Westminster.jpg
□近隣エリア申請リスト
https://www.westminster.gov.uk/neighbourhood-area-applications
リンク切れのため2015.4.24時点での頁にリンクし直します。以下の『』内の記述は古くなっています。
『この「近隣エリア申請リスト」をみると、近隣エリア設定に向けての現況やその後の「近隣フォーラム設立」に向けた動きが一目でわかります。現時点で近隣エリアは8か所で設定済み。しかしこの過程で設定できなかったエリアがあること(バッキンガムゲイト)や、設定された8エリアのうち4エリアは「ビジネスエリア」であることなどがわかります。』
そこで、上記時点AとBの差(およそ1年半の間の変化)をみると以下のようになります。
「8か所の指定地は基本的にそのままだがVictoriaはビジネス近隣計画策定エリアとなった。その後指定が完了した近隣は増加して21か所となりさらに22か所目の申請が出ている。この過程では重複した申請エリアが調整されたり、フォーラムとなるべき主体を調整している。区全体での近隣計画の区割りがほぼ固まり、あとはそれぞれの近隣計画策定の進展が注目される。なお、ビジネス近隣計画策定エリアは2つ増えて6か所となった。」

イングランドの近隣計画は「近隣」が都市計画の主体となる先進事例であるとともに、選別的なローカリズムが進むなどとする批判的見方もあり(⇒2011.8.11記事)、その動向に今後も注目していきたいと思います。

[参考]本ブログのイギリス最新都市計画「★統合ファイル