セントポール大聖堂の背後に建設中の高層ビルが問題になっているようです

本日届いたPlanning誌2017.1.13号によると(p10-11)、セントポール大聖堂の背後に42階建てのビルが建設中で、それが問題になっているようです。

「背後」といっても、これはリッチモンドパークから見たセントポール大聖堂の背後の景観の話で、具体的には、ロンドンオリンピックパークに建設されている「Manhattan Loft Gardens」。リッチモンドパーク−セントポール大聖堂−「背後」のビルの間の距離はかなりあります。
ネットで検索すると、この建物自体にも興味は湧きますが、そちらにそれずに解説すると、ロンドンのマスタープランである『ロンドンプラン』の一部をなすLondon View Management Framework(LVMF)というルール(⇒資料へ)上には、確かにリッチモンドパークからの「Protected Vistas」が定められており、セントポール大聖堂を含むその視線内にはこうしたビルが建てられないようになっているのですが、微妙なのは、ロンドンオリンピックパークにまでその線は伸びて表現されてはおらず、見方によっては建てられるし、別の見方によっては建てられない、という状態。
ロンドンオリンピックパークの開発許可を担当する「Olympic Delivery Authority」に確認してみると、この建物は2011年に許可された物件。当時、この敷地がセントポール大聖堂の「Protected Vista」の制限を受けるとは事業者も言われておらず、当時の計画許可を判断する委員会に出席していた地元ニューアム区の議員もそうした議論はなかったとしています。もし「Protected Vista」の制限を受けるとなればHistoric England(当時はEnglish Heritage)をはじめとする公式の協議団体に情報が回っていたはずで、そうなっていれば「強力に反対していたはずだ」とのこと。

さて、都市計画は、セントポール大聖堂の何キロメートル背後にまで線を引っ張っておかなければならなかったのでしょうか?!?
この記事にはロンドン市長の見解や、いやいやそんなことばかり考えていたらロンドンの活気が失われてしまうという開発側の意見などが最後に出ています。

[資料]London View Management
https://www.london.gov.uk/what-we-do/planning/implementing-london-plan/supplementary-planning-guidance/london-view-management