「3密」と都市計画

コロナウイルスの蔓延を防止するために「3密」を避けること。これは、都市そのものの特性を(一時的に)否定することでもあります。都市の存在そのものが脅かされている感覚が恐怖感(と同時に悔しさやもどかしさ)を増幅します。

けれども都市に人口が集中し都市問題が深刻になった際に登場した近代都市計画は当初、公衆衛生の観点からさまざまな施策を行い都市に介入。その積み重ねにより先進国では都市に健康に住むことが可能になった、、、

そう考えると、都市計画もコロナウイルス対策とつながっているのではないか。「3密」がそれを考える手がかりになるかもしれない。

ということで、結論が出てくるかは不明ですが、少しずつ考えてみます。在宅勤務による都市体験もいくらかは役立つかもしれない。

 

密閉、密集、密接。

仮に考えるための出発点を仮説的に書き出してみると、

密閉。都市化による空間のつくりは次第に密閉の方向にある。技術の進歩により人間の快適さなどのため密閉空間をつくり人工的な密閉環境が増大。従来人間に備わっていた換気能力も機械任せとなり衰弱。

密集。近代都市計画の基本は密集の防止にあった。新しくつくるものの基準が次第に向上。既にできてしまったものは公的介入により除去。公衆衛生基準だけではカバーできない部分は住居法をつくって過密居住を防止。 その一方、近代都市計画は郊外への拡張を推進し、密集を減らすことが基本だった。

密接。そのように都市全体としては密接の機会を減らす方向なのだが、密接は都市の存在意義そのもの。「にぎやかさ」はむしろ計画されてきた。繁華街とはそのような所。オフィス街は「にぎやかさ」を追い求めたわけではないが、結果において密接を増幅。コンパクトに詰め込まれたその場所も、そこにアクセスする大量の人も。グローバル経済化により東京やニューヨークなどの世界都市はますます密接をつくり出す場所に。

 

今後、これらの素朴な仮説に難問をぶつけ、都市をよりレジリエントにする都市計画はないものかと探ってみようと思います。